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「#幼馴染」のBL小説を読む
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桃クナールEX2
 スプレーを噴射しながら歩く傍迷惑な女がいる。桃色の髪を一つに束ねて、大きな胸を強調するような服を着ているそいつは、小さくなってわーきゃー言っている生徒たちを見て、萌えているようだった。
 駄目だこいつ。
 しかも狙うのは若い者のみである。二十歳かそこらまでならば、スプレーを吹きかければ幼児になるからだ。
「小さい子萌え〜v」
「姉さん、最低だよ」
 白子は小さくなった国原双子を抱っこしながらついてきた。やり過ぎそうな場合は姉を蹴り飛ばして止める為だった。
 そんな妹の目論見を分かっているのか、桃子はスプレーを吹きかけはするが連射はしないし、無差別にそこらじゅうに振りまく事もしない。
「もーい」
「もぃー?」
 萌え、を真似しようとしたのだろう。国原双子が分裂した状態できゃあきゃあと喋る。
 ぎゃあぎゃあ泣き喚く乳幼児、駄々をこねる幼子が量産される中、白子は桃子に詰め寄った。
「いい加減にしろよ姉さん」
「あらん? 三十分で元に戻るのよん?」
「そういう問題じゃないんだよ! 振りまくのをやめるか水で薄めるか、どちらかだ」
 桃桃三姉妹で最もまともな女、白子。
 彼女の睨むような視線(実際、睨んでいるわけだが)に、桃子は肩をすくめた。
 言ったら聞かない妹だと、理解しているのである。
「……じゃあ、二倍に薄めるわん?」
「三倍にだ」
「そんなことしたら二十歳の子が十歳にしかならないじゃない」
「充分すぎる」

 妹が睨みつける中、水道水で薄めていく作業を続ける桃子。
 こっそり、二倍にしか薄めなかった事は内緒である。

(やっぱり、五つか六つくらいにはなって欲しいじゃないv)
 桃桃桃子のオサナクナールテロは、まだ続く。
 
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