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桃クナールEX1
「姉さん、これは?」
 桃桃白子が冷たく言い放つ。
 目の前には小さな子供が二人いた。赤い髪と黒い髪。共に1歳か2歳という所だろう。
「国原姉弟よん?」
「その国原姉弟が、何故小さくなっているのかと聞いてるんだけど」
 あーう、あーい、と声をあげる二人。
 その足元にはスプレー状の薬品が転がっていた。
 ラベルを見れば、オサナクナールEXと書かれている。
「実験は成功ねんv」
「最低だな姉さん。二人には世話になっているというのに実験台になんかして」
「あら、あとで謝礼を払うわよん」
「そういう問題じゃないんだよ」
 オサナクナールEX。効果は従来のオサナクナールよりも強く、しかも、飲まなくとも効果が発揮される優れもの。いや、厄介ものである。
 吹きかけるだけでマイナス16年。つまり、国原たちは18歳の姿から16年をマイナスされ、2歳児になってしまっているのである。
「ふみちゃん」
 よちよち歩いてくる国原文は、床に寝転がっている十六夜……国原学のほっぺたをむにむに揉みながら自己紹介する。その行為にいったい何の意味があるのかはわからない。
「あっくん」
 むくりと起き上がり、国原学は答えた。そうだ、この双子は1〜2歳の頃はお互いの存在を知らなかったのだ。たまに入れ替わり、何事もなく愛されていたのだ。

「小さい子で溢れる学園っていうのも、素敵よねんv」
「姉さん、最低だよ」

 二人を抱えてあやす白子が姉に冷たく言い放つ。
 桃桃がスプレーを片手に学園を練り歩くことにしたようだ。
 ちなみに薬の効果は30分が限界だそうである。
 
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