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サラダはうろうろしてる▼(サラダ)

 ぐいぐいと腕を引っ張り、右へ左へ自由に歩くサラダは、狼を優しいお姉ちゃんと認識しているようで、しきりに話しかけていた。
「こっちですよー。おいでー」
「あ、あまり引っ張るなよ、サラダ。ほら、真っ直ぐ歩け」
「マリアンがさー、あのさー、サラダのお姉ちゃんでさー、さはぎんはさー、かおがお兄ちゃん」
「分かった分かった。だから落ち着けって、転ぶぞ?」
 顔がお兄ちゃんって、相当な言い草だと思うのだが、サラダはニコニコ笑って狼を引っ張ったり跳ねたりしていて、もう砂波銀を気遣っていないのが丸分かりだった。
「それでねー、僕がしーたけたべれないとねー、さはぎんがねー、がおーって言うんだけどねー、マリアンはねー、あららーってね、いってね、わらうの」
「お姉さん達の事が好きなんだな?」
「すきー。あとイチゴもすきー」
 狼は優しく、サラダがころころと話題を変えても付き合ってくれた。教室を覗いたり、通りかかる生徒達に尋ねてみたりと頼もしく、サラダは狼の事をすっかり信頼しているのだった。
 狼は凛とした表情に少しばかりの微笑を浮かべ、綺麗な顔立ちをサラダへ向ける。
 サラダは姉達が見つからない事に頬を膨らませ、もー、と不満の声を上げてから、視線を上へ向けた。
 狼と見詰め合う形になる。
「お姉ちゃんはだれがすきー?」
 突然だった。
 サラダとしては、まだ話が続いていたのだろう。
 だれですかー、と腕をぶんぶん振りながら尋ねる サラマンダーに、狼は頬を少し赤らめる。
「だ、誰だって良いだろう」
「うん、だれだっていーよ。だれー?」
 誰の名前を言っても良いという風に解釈したらしいサラダが、更に聞いてくる。
 恐らく次の瞬間には興味が移っているのだろうが、何も考えずに尋ねて来るサラダは、ある意味厄介なのだった。
 
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