迷子の話(サラダ・ハングマン)
髪の毛が黒と白にばっくり分かれた、常時見開かれた目の少女(?)が、学園の中をうろうろと歩き回っていた。
海賊をぺちぺち叩いても相手にして貰えず、つまらなくなって別の場所へ歩き出したはいいが、姉とはぐれた事に気づいて、心細くなっているサラダであった。
「もー!二人ともまいごになった!サラダがさがさなくちゃだめだ!」
ぷりぷり怒りながら廊下を歩く、ハングマン兄弟の末っ子。
迷子になってるのはサラダの方なのだが、いつでも自分を中心に世界を見ている自由人には、そんな事お構いなしのようだ。
サラダは空っぽになっている教室を覗いては、また別の教室を覗き、また、と移動を続ける。
変なものとSAYTSUI軍が戦おうとしている中、学園内をうろちょろと歩き回るハーフのサラマンダー。
「なんでいないのー?」
涙を目にためながら歩き回り、きょろきょろと辺りを見回し、姉がいない事を嫌と言うほど確認し、サラダは心細さマックスだった。
「マリアーン!」
廊下を走る。
走っちゃいけないよ、と注意してくれる担任の先生も見当たらない。
「さはぎーん!……ふぁ!」
転ぶ。
大丈夫か、と起こしてくれる二番目の姉がそばにいない。
「なんでまいごになったのー!」
だから迷子なのはお前だ。
サラダは力いっぱい教室の扉を開けた。
飛び込んだ先は、妖人科。
「マリアーン!さはぎーん!うああぁぁ!」
姉達の姿を確認できなかったサラダは、とうとうそこで泣き出した。
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