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第3回BLove小説・漫画コンテスト結果発表!
テーマ「人外ファンタジー」
- ナノ -
モンハン部は七人いる

「と、いう訳で、拙者が顧問の黒星三連若しくは三五郎に候」
「部長の国原文です」
 ぱちぱちぱち……。
 勢いのない拍手に迎えられた二人は、何と言うかあまり動じていなかった。
 マイペースな所が何故か似ている顧問と部長の前にいるのは魚人こと砂波銀・ハングマン、犬の精霊こと犬島千代松、青坊主こと青田防人、その娘二名、そして人でありながら人外への耐性が高い木場絵画の六人であった。
 モンハン部。
 人外がモンハンやるために集まりながら、たまにボランティア活動をするというもったりした部活である。
 部活発足の動機欄には「人外の基本的人権主張と迫害対策」なんて堂々と書きやがった部長は、PSPを手に言う。
「ハプル○ッカが倒せないんですけど」
「主もう人権主張する気ないだろ」
 幼馴染の水妖に突っ込まれ真顔でてへぺろ、とか言った国原は笛使いである。
 砂波銀は弓使い、青田はガンランス使い、犬島は太刀使いと、国原お前もしかして狙って誘ったんじゃないだろうなと言いたくなるようなならないような被らなさだ。
 マイペースな部長の隣にいる誰かが呟く。
「この部長は部活動をなめきっておるのか?」
「黙れ二重人格の弟」
 即座に国原から毒が飛んだ。
 二重人格の弟こと今芝楽は、人外でもないし耐性がついている訳でもないのに連れて来られて入部させられた、ぶっちゃけ被害者だ。
「先生殿、何故我ら兄弟はこのようなおちゃらけた部活に入らねばならぬので?」
「お前、見てて、楽しい」
「子どもの理由ではないか!」
 しかも教師の提案だった。
 もう駄目だ部長と顧問というトップ2の乗りが軽い。
「良いじゃん、芝楽くんはお兄さんの中で生まれ育って半分占領してる分、化け物みたいなもんなんだし」
「この部長切って良いか」
「化け物というには人間分が多すぎて萌えるに萌えられんな」
「この部員切って良いか」
 木場絵画にまで遊ばれ始めた今芝楽を見ながら、顧問の黒星は部室の扉を半分開けた。
 何だ何だと部員たちが教師の行動に首を傾げる中、ばたばたという足音が聞こえるのに国原が笑みを浮かべる。

 がらっ!

 ぴしゃっ!

「ぜぇ、はぁ、ぜぇ、はぁ……姉上勘弁姉上勘弁!」
「とまぁ、このように多乱寺が逃げ込みやすい位置に部室を設けた」
「部員げっとー」
 ぱちぱちと拍手をしながら解説する顧問と部長。
 姉から逃げたい一心で開いていた教室に飛び込んだら入部したことにされた多乱寺虫朱。
 砂波銀は思った。
(……鬼畜であろ、主ら)
 えげつねー、と笑っている青田と、虫朱を見た途端鼻血が噴出した木場絵画と、絵画を支えて箱ティッシュとガーゼで応急処置をする犬島千代松。
 モンハン部は色々と緩いようだ。
 
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