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それゆけ、ちっちゃい団

 ほれおとが>えWぼおけWだW。
 クレヨンで書かれた旗を持った少女が旗をひらひら振り回しながら声高に言う。
「にんちゃんたいちょーです!」
 それに続くかのように二人の高い声が返った。
「てては隊員をします!」
「あぶーっ」
 恐らく、ほれすとがくえんぼうけんだん、と書いたつもりなのだろう旗を持ったにんじんが、強気な表情で隊員たちに告げていた。
「がっこーを、ぼーけんするの! こわいさんに会ったらにげようね!」
「はい!」
「ちゃ?」
 にんじんの後ろに手々が並び、手々の背中にはおんぶ紐で油々が続く。
 ぞろぞろと列のようになって歩く三人は興味がある場所へ好き勝手に尋ねていくつもりのようだ。
 お花が咲いてます! みずのびばです! おすなばです! と見つけたものを次から次へと実況していく子どもたち。
「あ! おっきいヘミ! にょろにょろ!」
 にんじんが指差した先にいるのは赤と青の巨大な二匹の蛇。
「てては気持ち悪いと思います! 逃げたいと思います!」
 素直な気持ちを吐き出して挙手する手々。
 あーい、と意味は分かっていないがお姉ちゃんの真似をして手を上げる油々。
「じゃあ、きもちわるいのから、にげまーす!」
 二人の挙手を眼にしたにんじん隊長が元気良く宣言する。
 わーい! と歓声を上げて逃げていく冒険団の三人に取り残された形になる蛇二匹が、ゆっくりと鎌首をもたげて会話を始めた。

「……我ら、山の使いなのにな……」
「子どもは素直なものだな、山菅彦」

 明らかにショックで凹んでいる赤い山菅彦と何処か遠い目をしている青い蛇橋彦の二匹は、遠ざかっていく子どもたちに少しばかり切ない気分を抱いていた。
 まあ、蛇なんだから仕方ない。


「つぎはー?」
「てては、次は大きい人に会いたいですっ」
「おじちゃん、おっきいよ!」
 きゃっきゃと会話に花を咲かせながら学園を歩いている冒険団は、小さい体をいかしてロッカーの中に入ったり隙間を潜り抜けたりして遊んでいた。
 きらきらしたもの、ふかふかしたもの、変なもの、沢山見つけて沢山驚いて、そのたびにちょこちょこ走り回る。
 女が三人寄れば姦しいのは、この年頃でも同じ事のようだ。
「おじちゃんはねぇ、強いの! すっごく!」
「あ、パパも強いです! ててのパパは強くて、お料理が出来ます!」
「あぷぷぷ」
 
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