里に獣偏がついたのです(里中里美)
やっと到着したらこの有様で。
みっともなく泣き叫ぶ少女とその兄。
唸り声がした方へ顔を向けたら、
確かに悪霊は其処にいた。
やたらと楽しそうに僕を見る。
魅入られたら負けだと紙を敷いた。
うねる陣を描いて彼を召喚する。
たった今彼と僕は主従の契約を結んだ。
やぁ、参った。
魅入られたら負けだったのに。
うっかり魅入られてなおかつ呪われた。
ただの人間とは子をなせないそうだ。
病みそうな程の妖気に纏わりつかれて
見る景色は悉く人害。
煩い人間を僕が嫌いになったなら、
躊躇わず殺すだろう、それが彼だから。
彼と僕が紡ぐ「闇歌」
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