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「#幼馴染」のBL小説を読む
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暴走暴走

「あそべぇーっ!!」
 校庭で叫びながら爆走するチビがいる。黒と白にばっくり分かれた髪の、いかにも暴れるのが好きそうな顔立ちの少女だった。
 きちんと着ていないせいでダルンダルンしている制服をなびかせながら火炎を放射し、駆けずり回るのは、ハングマン三兄弟の末っ子だ。
 名をサラダという。
 サラマンダーの子である。
「ひまだぁーっ!!がおぉーっ!!」
 なんとも頭の悪い叫び声で辺りを火の海にしていく暴れん坊は、空に向かって火柱を打ち上げる。
「サラダとあそべぇーっ!」
 退屈を心より嫌うチビっこが、喚いた。
「っしゃあ遊んでやらぁボケェ!!ぶちっ壊ーす!!」
 それに更に煩い叫び声が足される。真っ白な髪と目を持つ悪魔が飛び入り参加してくる。
 サラダに飛び掛り、火の海の中を転げまわるのは釘デュンケル。五寸釘の森の釘三姉妹の、やはり末っ子だ。
 こちらも頭は悪い。
「サラダとあそぶのかー?ボッてしてもへいきかー?あそぶかー!?」
 わくわくした様子のサラダ。
「お前こそ丈夫かよ?俺が殴っても壊れねーかよ?ぶっ潰しても平気かよ!?」
 うきうきした様子のデュンケル。
 校庭は未だに火の海である。他の生徒が使えないので、甚だ迷惑だ。
「がーおーっ!!」
「っしゃらぁぶっ飛ばぁす!!」
 地面をえぐり、土の塊を投げつけ、拳で岩を砕くデュンケル。
 土塊を焼き焦がし、火球を吐き出し、勢いよく突っ込むサラダ。
 ボコボコかつボロボロになっていく校庭。

「てめぇらか、騒ぎ起こしてやがんのはぁっ!!」

 そしてそこに雷を落として現れたのは、学園内の治安を守る(?)戦士三兄弟が次男、十六夜ジャック。
 今、一番来て欲しくない男だった。
 もう、ややこしくなる事が明白だからだ。
 ややこしくならない選択肢が雷に打たれて消滅してしまったからだ。
 誰か一人でもいい。帰れ暴れん坊。
「だれだ、おまえ!サラダとあそぶのか!赤白おこりんぼ顔め!」
「あーん?仲良く喧嘩ごっこに混ぜてやろうか身長水増し歌舞伎野郎!」
「てめ……誰が怒り顔で身長水増しだゴラァ!!ぶちのめすぞボケェ!!」
「「上等ーっ!!」」



 十分後。
 ボロッボロになった校庭の隅でボックと明星キングに正座で説教されているデュンケルとジャック、そして遊びに飽きたらしい、マリアンに抱っこをせがむサラダと、消火活動に苦労する砂波銀の姿があったという。
 まとめ。
 暴れん坊が三人集まると、文殊の知恵が焼き尽くされる。
 
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