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クローバー ストーキング ザ ジョーカー

 腹部についた巨大な目玉を悪趣味に動かし、青と緑で構成された回廊産マスコットシリーズ3号ことクローバーは空を飛んでいた。
 黒い紐で結われた三つ編みの先が白く濁っているそいつは、誰から見ても異様なクローバーだった。クローバーたちから見ても異質に映ったらしく、大勢の仲間に取り囲まれ、敵意の篭った視線を向けられている。
 黒い紐のクローバーは、ピンチだというのに偉そうにふんぞり返っていた。腕組みをし、周囲の元仲間を見据え、腹の目玉に至っては物凄く笑っていた。
 挑発しているようにしか見えない。
 実際挑発している。
 無言のにらみ合い(も何もこいつらは喋らないのだが)の後、囲んでいたクローバーたちが焦れた様に、一斉に飛び掛った。
 のに。

 異様なクローバーは、三つ編みを揺らす。

 毛先(?)から流れる、青白い熱。
 現主人の力を提供されているこいつにとって、ノーマルモードのクローバー等ただの格下に過ぎなかったようだ。
 雷で砕けていく元お仲間を嘲笑しながら見送るクローバーは、さてお仕事、と命令されていた灰色の少女捜索に戻る。
 寮の建物近くで乱闘していたクローバーはとりあえず入り口付近を飛んでみた。
 いないなぁ、でも学校の入り口付近はスライムに任せてあるしなぁ、といった目つきで飛び回るクローバーが視線を奥へ向けた時、動きが止まった。

 グレーの長髪が揺れ、フェードアウトしていくのを、見たのだ。

 おおう、マジでござるか。とか言いそうな顔つきで灰色を追っていくクローバーは、物陰からこっそり、本人であるか見る事にした。
 そっと顔を覗かせる。
 というか、腹にあるでかい目玉を除かせる。
 グレーのロングヘアーと、小柄な体躯、セーラー服。間違いなさそうだ、と頷きかけたその時、見つめている先の彼女が振り向いた。

「先程から小賢しい真似をしておるのは、貴様か」

 あ、主人から聞いてた口調と違う。
 襲い掛かった国原に逆ボッコされ、すいませんでした、と頭を下げた時よりも遥かに身の危険を感じたクローバーは、すぐにトンズラする事に決めた。
 逃げ切って主人に頭撫でてもらおう。
 クローバー集団と喧嘩をかましていたのと同じ存在であるとは思えない程ビビりきった目つきで飛んでいく国原のクローバー。
 赤スライムと立場交換してれば良かった!
 立ち向かってはいけない相手に出会ってしまった恐怖を胸に、手下は親玉の下へ逃げていく。

 後ろを振り向いたら駄目な気がした。
 
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