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「#幼馴染」のBL小説を読む
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愚生の昔なんだが(半蔵門半蔵)

 特殊機関・FAHAMaL(ファハマル)。
 F(ファイター)A(アーティフィカル)H(ヒューマン)A(&:and)Ma(マシーン)L(ラボラトリー)の略称。日本語にしてしまうと、戦闘用人造人間及び機械類研究所、といったところだ。
 其処には様々なアンドロイドやロボットがいた。重火器を扱う専門やら剣術の専門やら何やら、覚えておらん程には。
 愚生が遊び半分で研究所のプログラムを書き換えて、箱根湯本の温泉宿泊サイトとリンクさせてみたり、カブトムシの飼い方とかいうサイトをコンテンツに組み込んだりしていたのが、丁度十年前だろうか。アクセスを遡られて身元が判明、愚生はあっけなく研究員たちに捕まり、研究所へ連行された。
 プログラム書き換えの犯人が十三歳の女児だという事に驚いていた回りの研究員たちを他所に、愚生はどう逃げてやろうかと、それしか考えていなかった。
 研究員たちは言う。
 その異常な才をもって研究所に貢献しなさいと。
 愚生は言う。
 何だそれはつまらなさそうだなお主ら嘗めとんのかと。
 断ったその日から、愚生は三年ほどを独房の中で暮らした。監禁状態である。時折ぷ○ぷよの方が百億倍面白いと断言できるような単調な仕事を持ってこられ、暇潰しにクリアしていった。それぐらいだ。
 小難しいプログラムを組んでみたりロボットの設計にミスを見つけて指摘してみたり、合理的な運動エネルギーの使い方を提案してみたりと、何と言うか、子供が体験するような事ではない物ばかりに囲まれたので、退屈はしなかった。
 愚生が十六歳になった頃、独房から出された。コンピューターや書籍に囲まれた狭いながらも楽しい我が家から引きずり出されぶーたれていた愚生に与えられたのは、広い個室であった。今度は其処に住めというらしい。
 白衣を着せられた。ネームプレートには愚生の名前。そう、研究所の職員として認められていたのだ。
 アンドロイドの開発や、無人偵察機の改良といった具合の仕事が舞い込む日々だった。別につまらなくは無いが、特別やりがいを感じている訳でもない。
 この機関にあるいくつかの研究室を見て回り、特徴や人員、行っている内容などを頭に叩き込んでは悪戯をして滅茶苦茶にした。これは中々面白かった。
 そんなある日である。
 やや遠い街にて魔導エネルギーの暴走を確認した。
 エネルギーは本体を巻き込みながら街を飲み込み、あっという間に風景を廃れさせていく。テロ行為であるととって間違いはなかった。
 男が連行されてきた。
 独房にぶちこまれたその男は、十八歳になった愚生よりも五つか六つは年上なのだった。若いのにやりおる、と笑ってやれば、年下に言われるとは思わなかったとそやつは言った。
 魔導人形という戦闘用エーテルロイドを自力で作り出せるだけの実力を持った偉そうな男は愚生の観察下に置かれる事になったが、ぶっちゃけ観察するのも面倒なので放っておいた。
 そうしたら、何とその男はとんでも無い秘密を探し当てたのだ。
 いやあ、放っておいて良かった。
 この研究所、人造人間やロボットという人では無いものを作るだけではなく、其処らから人間を浚ってはサイボーグ手術を行い、兵士を量産していたというのだ。
 勿論、違法である。
 秘密を握った愚生とその男は機関から睨まれる事となった。
 このままでは我々までサイボーグにされかねんと踏んだので、とんずらをぶっこいてやった。ざまあ。


 異様な存在でも受け入れるという物好きの極みな学園を見つけ、逃げ込んだのがつい最近の事だ。
 面白い従属と契約した愚生は、日がな一日面白い物を探して学園をほっつき歩いておるという訳よ。
 機関の話?
 面白い何かをくれるなら、また話そう。
 
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