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〜4〜

 どたばたと忙しく兄弟が集う。
 あのスパイダーが学園に乗り込んできたという情報だけで、治安維持会に属している元構成員たちは戦慄した。
 軽い乗りでマリーンを投げ捨てる相手だ。格が上の相手だ。それが、再びきた。
 清水とスパイダーの動向を探るべく、ボルトとマリーンの二名が物陰から監視を行っていた。手のひらサイズの通信機が繋がる先は、戦士の三兄弟。
「こちら、マリーン……スパイダー様……いや、スパイダーはあの方を支えながら、一点へ向かっている様子」
 ぼそぼそと告げる彼の視線は、あるものに向かっていた。清水の腹だ。異様に膨れ上がった腹は、まるで妊娠でもしているかのようだ。慈しむかのように支えるスパイダーが異常に見える。
「此方ボルト。テンペストは中庭へ向かっている……さっさと来い。決着をつけるぞ」
 淡々と告げた雷の彼は、それだけ言うと通信機の電源を落とした。短気な性格だ、恐らく中庭で争う気でいるのだろう。清水が笑顔で腹をさするのを見たが、その腹ごとぶち破ってしまえば良いと思っていた。

「スパイダー」
「はい? 何で御座いましょう?」
「あの二人、誰かに連絡してるようだったね」
「きっと、戦士たちにで御座いますですよ、ご主人様」
 回廊の親玉と忠実なる下僕は気付いているようだった。
 しかし、止めはしない。
 逆に、憎い者皆が集まってくれるほうが都合が良かった。
 卵がかえれば世界は滅びる。遅い早いの違いはあれど、皆滅びる。
 なら、一番早く滅ぼしてやろうと思っていたからだ。
 裏切り者と、邪魔者を。
「中庭って、人目につく?」
「ええ、ほぼ中央に御座いますからね」
「なら、すぐに集まるね」
「はい、すぐに」
 スパイダーが清水の腹に手をやる。その手に自分の手を重ね、清水は笑った。もうすぐ孵るね、と。幸せそうに。

 こどもが、のっています。
 
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