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〜2〜

「おりませんねぇ、ヒーローとやら」
 さっきまでお化け屋敷でぎゃあぎゃあ騒いでいたスパイダーは、お化け屋敷の主である骸骨にお守りを手渡され、次の店を覗きながら任務遂行していた。
 ヒーローを見つけたら倒す事。学園の守りを手薄にする事。その二つを命じられてやって来たのが、構成員である彼らなのだ。
 といっても、既に四人が構成員としては不要だと認識されてしまっている。
 スパイダーはその不要物を見つけ次第、魂を刈り取る構成員、デスに報告するよう言いつけられていた。
「裏切り者も見当たらなーい。ヒーローも見つからなーい。つまらなく御座いますなぁ」
 出店で買った小さな弁当を頬張りながら辺りを見回す、絶賛エンジョイ中の構成員、偽黒子。
「ここいらの学生でも襲ってみればヒーロー来ますかねぇ」
 安直な発想である。
 楽しそうに笑う生徒たちを見て、首でも絞めようか、体を締め付けて息でも止めてみようかと空想するこいつは、暇を持て余していた。
 持て余していたせいで、実際に試みてしまった。

「きゃぁっ!」

 女子生徒の叫び声が上がる。首が絞まっている。
 生徒の首に絡みつく細いワイヤーは、スパイダーの服の袖と直結していた。
 少し力を加えればぎりぎりときつく締め上げられるワイヤー。
 周囲の生徒たちが叫びながら遠ざかっていくのにもお構いなしで暇潰しを続行するこいつは、ヒーローはまだかな、と痙攣を始めた女子生徒に目もくれず考えていた。
 三戦士に連絡を入れようと、科学技術推進科へ電話する生徒も見受けられる。
 呼吸が弱弱しくなった女子生徒を放り捨て、次の生徒へ糸を絡みつかせるスパイダーは、ヒーローも裏切り者も目視できない現状に退屈しているようだった。
「ねぇ、あなた死んだらヒーロー来るで御座います?」
 
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