蛇と国原〜1〜
渡り廊下の屋根を蛇が這う。
木々から木々へと蛇が移る。
屋根の上の赤い蛇はゆっくりと鎌首をもたげ、枝に乗った青い蛇はゆったりと眼下を一望する。
二匹の大きな爬虫類が、学園祭に現れた。
学園祭を満喫していた生徒は二匹の蛇を目撃して悲鳴をあげる。
蛇たちは何処吹く風といったように学園の建物に張り付き、学生を、そして学園祭の様子を眺めるばかりだった。
赤い蛇が舌を出す。
青い蛇が目玉を動かす。
二匹は迷う事なくある教室へ向かって進んでいった。
特殊能力科の、ハロウィン喫茶へ。
その瞳は爛々と輝き、炎のような赤と泉の底のような青が艶々と輝いている。
ある人間の良い匂いがする。
蛇たちは口角をにたりと上げて這いずって行く。
しかし何処かからムカデの匂いもする。
蛇たちは荒々しく光る目玉で辺りを見回し、ムカデの所在を掴もうとした。
まあ、良い。
目指すは一人の人間。
その人物に巻きつけば目的は完了だ。
蛇たちの進行は止まらない。
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