メガヴィラン
2015.09.22.Tuesday
私にとってBWCGのメガトロンは、愉快なんだけど冷酷、お茶目なんだけど本質は底冷えする何か、っていう、見ていて面白いし楽しいんだけどなんとも感情移入しにくいキャラだったわけです。
感情移入というか、足を踏み入れにくい。悪い言い方すると、とっつきにくい。
アニメ本編でもたぶん感情全てをさらけ出してたわけじゃないんだろうなと思うし、オーバーリアクションな部分は大げさに演技していた分も入ってるだろうなとも思うし、笑っててもそれが本心なのか分からない、怒ってても内心冷めてるかも知れない、何をしていても目が笑っていない印象だし、冷たいというより有機物が無機質にふるまっている感じに見えるし、無機物が有機物ぶっているようにも見えるし。
ディ○ニーのヴィランズを更に隙なくした感じ。
ギャグとシリアスのバランスが取れているようで、本質はどちらでもない。ギャグもシリアスもどうでもいいような。上っ面だけで楽しんでいるふりをして、表面だけで苦虫を噛み潰して。
どうにも踏み込めない何かがあったんですけど、悪ふざけしすぎで本編が分からなくなってることに定評があるリターンズを見ていて、突然すとんと腑に落ちた考えが出てきたんですね。
リターンズのメガトロンって、機械のコードぶらんぶらんでミノ虫みたいになってるじゃないですか。手下はみんな有機物を排除したドローンたちで。
R時代のメガさんって「有機物を限りなく排除した普遍で不変の秩序」を求めてたんですよ。余計な感情抜きにして合理的に生きていたかったんです。むしろ「生きる」っていう有機的な反応もしたくなかったに違いない。ほぼほぼシステマチックに、事務的に、何に心動かされることなく、エンコード処理とプログラミングの調整だけしてるサーバーの管理人みたいな立ち位置で寝て起きて寝て起きて。
CG時代は表面だけだとしても感情をあらわにしていたメガトロンが何故Rに入ってばっさり感情を切り捨てようとしたのか。
実はメタルスも後半になるにつれメガトロンはどんどん非情さを露出させていってたんですよね。勝手な想像かもしれないけど。元から非情な性格はしていたんだけど、それが、メッキが剥がれるかのようにぼろぼろ出てきたのってリターンズじゃなくてメタルスの時代だったんじゃないかって思うんです。
何故仏頂面で部下を焼き殺せるまでにいたったか。
メタルス突入直後にテラザウラーとスコルポスが溶岩にぼちゃんして死んじゃったからじゃないか。
それまでメガトロン様メガトロン様って(本能バグで無条件降伏しているインフェルノを除いて)真心で慕ってくれていた副官と、下克上下克上ってくっそ生意気だったけど初代メガトロンにとってのスタースクリームみたいなポジションにいたテラザウラーっていう、無意識でも無自覚でも、感情に訴えかけてくる灰色と赤色が、溶岩に呑まれて死んだからじゃないかと。
一番メガトロンを感情的にさせていた部下たちが、金属質を意味する「メタルス」で初っ端から死んだ。
最後まで生き残ったのはワスピーターで、彼には感情の起伏を感じさせる抑揚がなかった。
だんだん破壊大帝の心が死んでいったんじゃないかな。良くも悪くも自分に注目して感情全部乗せして名前を呼んでくる部下ほど早く死んでいき、しぶとく生き残ってる奴らは大体メガトロンに対する思い入れが浅い。
もう最終的にメガトロン様万歳って言ってるインフェルノの言葉さえ、本心なのか本能なのかバグなのか判断ができなくなってたんじゃないかな。
という妄想をふまえまして、勝手に納得したんです。
彼、精神的に脆いかも知れない。
傷つかないために万全の策を用意することはできるし、自分を守って相手をなぶって正しいのはこちら側ですよって空気を作るのもうまいけど、一度傷ついてしまったらあちこち連鎖的に壊れていってしまうような恐竜さんだったのかも知れない。
だからこそ感情を排斥したオートマチックな惑星を作ろうとしたのかもしれない。
「有機物を取り除きたい」っていう、感情的な願望を抱いて。
以上です。
拙宅のCGメガトロンさんは「自分の弱い所には誰であっても踏み入れて欲しくないから上っ面をオーバーにする癖(へき)があるおじさん」でいきます。
好物はエビチャーハンです。