オサナクナールTHEエクストリームスーパー
オサナクナールTHEエクストリームスーパー、と、何ともふざけたラベルが貼られたペットボトルを大きな水鉄砲に装填しながら、桃色の髪の女は校舎を静かに歩いていた。
その目は獲物を狩る鷹の如し。
迷彩柄の服を上下で揃え、何故か防弾チョッキまで着て、足音もたてずに廊下を歩く様は特殊部隊のようである。
いつもはだらしなくにやついている口元を真一文字に引き締め、女は目当ての学級へと足を進めていった。
学園は無駄に広い。
しかし、女の足取りに迷いはない。
学園の地図は職員として派遣された最初の時点でインプット済みなのだから。
途中、一年生とすれ違った。
桃色頭の女は少女たちを一瞥すると、あなたたちじゃないのよん、と小さく呟く。
目当ての獲物はもっと大きい。それこそ筋骨隆々の者からすらりとした精悍な者まで。
がらり。
学級の扉が開かれる。
「ごきげんよう皆さん! オサナクナールの時間よぉん!」
連射。連射連射連射連射連射!連射!
オサナクナールTHEエクストリームスーパーが宙を舞う!
私の萌えの為犠牲になってちょうだい! と息巻いて、桃桃桃子はエクストリームスーパーをぶちまけ続けた。
犠牲だって分かってるならやめろお前。
「ほーほほほほ!」
妖人科に、頭のおかしい保険医の笑い声が、ただ響く。
丸一日、小学生の姿で過ごさなければならない悪魔の薬は、発射されるままに踊り狂っていた。
2013/11/27 19:37
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