×
人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -
マイペースさん
「こんにチワワ」
 ぽんやりした表情で挨拶をされ、チワワである一の坊は、うーん、と困っていた。
 彼女を伊賀の雑用係として受け入れたはいいが、マイペースすぎて持て余しているのだ。
 あまり集団行動に馴染めない彼女に一言アドバイスをしようと呼びつけてみたら、これだ。
 こんにチワワとは。
 彼女はよそを向いて、あ、シベリアンハスキーだ、と呟いている。
「アラスカンマラミュートもいる」
「よく見分けがつくのう」
「尻尾と体格が違うんだよね」
 ぽやん、とした表情で犬の見分け方を犬に教えてくれる彼女は、与えられた仕事である廊下磨きをのんびり続けていた。
 そうだ、集団行動についていくためのアドバイスをしなければ。
 一の坊が彼女を見て、そして。
「犬の肉球見つけた。さては裸足で歩いたな、誰か」
 マイペースに肉球の跡を写真に撮る姿に、ため息をついた。

 ……まあ、仕事をしてくれるなら、いいか。