×
人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -
おもちゃの町
 テディタウン1の2の3。
 そこで暮らす彼女は、誰もいない家を出て、誰もいない道を進んで、誰もいないゴミ捨て場に決められたゴミを出す。
 ここはおもちゃの町。
 レプリカの町。
 彼女が暮らしていた環境をそっくり真似た、虚構の故郷である。
 彼女は町の境目を見る。フェンスが張り巡らされている。キープアウト、という張り紙が至る所に見えていた。
 ここには彼女以外住んでいない。
 実験なのだ。

「人は一人きりの状況に何日耐えられるか」

 彼女は携帯電話に目を向けた。SNSに今日のことを呟くと、複数コメントがついた。
 一人きりとはいってもネット接続は許されているあたり、厳密なルール付がされていないような気がする。
 要するに暇つぶしの実験なのだろう。

 彼女を一人きりにしたら、何日で彼を求めるようになるか。

「早くアタチを呼んでくれればいいのに」
 モニターで彼女を観察しながら、退屈そうに彼が呟いた。