おもちゃの町
テディタウン1の2の3。
そこで暮らす彼女は、誰もいない家を出て、誰もいない道を進んで、誰もいないゴミ捨て場に決められたゴミを出す。
ここはおもちゃの町。
レプリカの町。
彼女が暮らしていた環境をそっくり真似た、虚構の故郷である。
彼女は町の境目を見る。フェンスが張り巡らされている。キープアウト、という張り紙が至る所に見えていた。
ここには彼女以外住んでいない。
実験なのだ。
「人は一人きりの状況に何日耐えられるか」
彼女は携帯電話に目を向けた。SNSに今日のことを呟くと、複数コメントがついた。
一人きりとはいってもネット接続は許されているあたり、厳密なルール付がされていないような気がする。
要するに暇つぶしの実験なのだろう。
彼女を一人きりにしたら、何日で彼を求めるようになるか。
「早くアタチを呼んでくれればいいのに」
モニターで彼女を観察しながら、退屈そうに彼が呟いた。