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充電中
 病気で死んだのは分かっている。手術をすれば治らないこともなかったが、手術の費用がなかった。
 咳き込んで、苦しい中意識を手放したように思う。家族が心配していた顔をおぼろげながら思い出す。

 そして今。

「苦しい」
「じゃあコード取ってくれよ」
「コードで繋がれるなんて犬じゃあるまいし」
「なら充電終わるまで接触してなきゃだろ」
「むぅ」
 彼女は彼に抱き締められて、苦しい思いをしていた。
 二十年前、彼の親族に引き取られ、彼の親戚になった。彼女は充電器の化身超人として生まれ変わったのである。
 コードを使ったり直に接触したりと用途は幅広い。
「苦しいってば、テルテルくん」
「もうちょっと」
 あー。とだらけた声が背中から聞こえてくる。
 こちらも、うー、とでも言ってやろうか。
 こんなに抱き締められる経験をした事など、前世を含めて初めてだ。
 大人しく腕の中に収まっていると、ありがとな、という声とともに彼は離れていった。
「充電器買うお金あげるから買いなさいよ」
「お前がいるのに買っても仕方ないだろ」
 お互いに恋愛感情がないからこそ密着できるというものだ。