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ねたみそねみ
 彼女はパソコンに向かっていた。かたかたと音を立てて何か仕事をしているようだ。後ろからそろりと覗き込む二人は、一生懸命で此方に気づかない彼女をスルーして、中身を読み込んでいた。
 バトロボの構造とエネルギー循環でもっとも効率の良い組み合わせはどれか。
 排熱機構や冷却装置の最新機器一覧とメーカー名。
 そして基盤やモーターの容量とAI機能を天秤にかける計算。
「なかなか真面目で候」
「わっ!!」
 突然声をかけられた彼女は飛び上がった。
 思い切り振り返り、声の主を見る。
 面白そうに画面を覗き込んでいる虎と狼の二人に、未だにどきどきと高鳴っている心臓を押さえながら彼女は不機嫌そうに言った。
「いるならいるって言ってくれないと困るよ」
「いるでござる」
「今言われても仕方ないし」
 彼女はダイクーン教授の助手として働き出したバトロボのメカニックである。
 いつか自分でもバトロボを組み立ててバトロボマッチに出場するのが夢らしい。時折大会に顔を出しては勝利を手にしていくダイクーン教授に尊敬の念を抱いているようだった。
「お前はバトロボなんぞ作らなくて、あ、結〜構〜!」
 不愉快そうな顔でタイガマルが見得を切った。
 それに頷くロウガマルが彼女を横目で見て、ふて腐れたように吐き捨てる。
「お主にライバルチームを作られても迷惑、でござる!」
「な、何それ、失礼な」
 ビーストモードの形態をとった二人がじりじりと彼女に近づいていく。何をされるのかと身構えた彼女が後ずさり、壁に背中をつけて警戒するが、二人はそれでも彼女に近づいていった。
「俺様たちを見ろ」
「拙者たちを直すでござる」
 不機嫌そうな虎と狼が、交互にそんな事を言った。
 他のバトロボに彼女の視線をとられる事が気に食わない。そんな声だった。
「心配しなくても貴方たちのことはちゃんと見るから」
 そう言っても納得してくれない虎と狼に頭をこすり付けられ、一時だけ野生王国の主となってしまった彼女は、困ったように笑った。