日常記念撮影
壁に穴が空いたというので大慌てで彼の部屋に行ってみると、見事な円が描かれていて、喧嘩の凄まじさが見て取れた。
ダイノボットが目から光線を出して壁をえぐり抜いてしまったのだと説明を受けた彼女は、光線を出さなければいけないほど挑発した彼に冷たい視線を向ける。
「何さ? おいらが悪いっての?」
悪びれた様子もなくベッドに寝転がっているのはラットルだ。彼女はラットルの隣に腰掛けると、壁を指差して言った。
「修復にどれだけのコストがかかると思ってる?」
「修復しなくても大丈夫、ほら、艦が飛ぶとき軽量化できてラッキーってな風に思っとけばさ! だめ?」
「駄目でしょ」
じゃあさぁ。とラットルが持ち出したコルクボードに怪訝そうな顔をすると、ラットルは悪戯っぽい笑みを浮かべてそれを壁の穴に立てかけてしまった。
「これでどう?」
「根本的解決になってない」
「いいじゃんいいじゃん。気にしないの。どうせ今は直せないんだから、これでオーケーってことにしよ?」
彼女は呆れた。呆れたが、照れてもいた。
コルクボードに貼られたラットルと彼女のツーショット写真の数々。
怒られないためにあえてこのコルクボードを選んだのだろう、ラットルの抜け目のなさが憎めない。
「しょうがないな……」
肩をすくめて彼女が言うと、ラットルは嬉しそうな顔で彼女の肩を抱いた。
「はい、チーズ!」
その手には、カメラ。