喉絞めキリキリ
先ほどからガン吉の首を絞めているこの女は何なのだ。
思い出そうとしても皆目見当が付かない。
異様に冷たい肌は土気色をしており、目は白目の部分がない。どこかで見た覚えのある……しかし女自身には微塵も覚えがない、妙な感覚。
ガン吉はくらくらと揺れ始めた視界で女を捉えていた。
「あの子が欲しい」
あの子じゃ分からん。
「あの子が欲しい」
あの子じゃ分からん。
にたりと不気味に口角をあげた女が繰り返し口にする内容に、もしやと思った。
思った瞬間、怒りがわいてきた。
酸素などくれてやる。脳貧血など起こればいい。今は。今は。今は。
「ギノゴ……爆裂ふゔっ!」
至近距離で爆発が起こる。ガン吉にも余波は来る。それでも構わない。
この女の言う『あの子』があの子ならば、渡すわけにはいかないのだ。
ぐにゃりとひしゃげた女が、しかしぐにゃぐにゃと再生するのが見えた。
粘土だ。見覚えがあったのは、あの子の傍に常にいるネンネンの存在がちらついたからだ。女が悔しそうに睨んでくるのに、ガン吉はキノコを構えて腰を落とす。
「あの子はやらねえ」
まん丸は、こんな得体の知れない粘土人間なぞに渡すべきではないのだ。