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捻くれ回顧録
「国語のテストで、このときの作者の気持ちを答えなさいっていうのあるじゃん」
「ああ、あるね」
「でさ、あれ、選択肢の中で至極もっともらしい綺麗事があったら大抵それが正解じゃん」
「そういう事言わないの」
「でもさ、大体の小説家はこう思ってるはずなんだ」
「何ですか」

「やべえ締め切り間に合わねえ」

「……いやー、まあー、それは、どうだか、ねえ」
「でも国語のテストに“やべえ締め切り間に合わねえ”なんて答えはないわけよ」
「そりゃあね」
「あの問題、正しくは、このときの作者の気持ちとして答えてもらったら先生が上機嫌になるものを答えなさい、なわけよ」
「んー……穿った見方すぎません?」
「そうかな?」
「そう、とは、言い切れないけど……ひねくれてるというか、それ以上はいけない、というか」
「まあさ、だから国語のテストなんて、道徳の授業くらい大した意味はないんじゃないかって話よ」
「道徳の授業……あー、あの……学校の授業で怪我をしたけど我慢しました、っていうのを、学校側の安全管理のなさではなく、生徒間の意識での美談として語っちゃう奴と、一緒?」
「一緒一緒。だって大人のご機嫌取りに徹してればそれなりに点数取れるでしょ。国語はね」
「国語は」
「これが現代文、古典と分かれてくるとそうも言ってられないからね」
「あー……読解力が俄然必要になってくるから」
「本当それ」