…それは今から丁度7年前の寒い夜だった。

俺とプロシュートは赤ワインを酌み交わし,突然のポルポからの電話を受けたリゾットは雪がちらつく寒空へ出て行ったきり,2時間が過ぎていた。プロシュートがおもむろにシガレットを取り出してその内の一本を薦めてきたが,俺はワインに煙は好まないので,代わりに濃いめのジンをショットグラスに注いだ。


ギャング『パッショーネ』の暗殺チームは約10年前に編成された。当時は総勢15人程のアサシンが居たらしいが,その過酷な仕事故に殉職や自殺,失踪する者が後を断たず,

(失踪した者達はボスの都合上消されたとも言われている。)

今では俺とリゾット,プロシュート,ソルベ,ジェラートの計5人で任務を賄っている。

とは言え,この5人共(少なくとも俺とプロシュートは)10年も昔からここに居た訳では無い。俺は2年前に,プロシュートは去年入団して来たばかりだ。

14歳の頃に仇討ちで殺人を働いたリゾットは,両親やに縁を切られ,行く当ても無くさ迷い歩いた末に組織へ転がり込み,プロシュートも過酷な経歴を経てパッショーネへと入団した。

何しろ,命令一つで敵対しているギャングや情報屋を暗殺する仕事を進んで担い来る輩なんざ一人もいないわけで,何かしらの人格的欠陥や

(ソルベやジェラートのようなガチホモがどうかは分からないが)

過剰に殺人に執念を持つ外道な人間共の廃棄場のようなものとして見られているらしい。

そんな周囲の白い目にボスからの冷遇が加わって,
(ボスは俺達を信頼していない為に,賃金が恐ろしく低い)俺達はボロアパートに詰め込まれ,まるでボスの飼い犬のような肩身の狭い思いをしていた。



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