『…ホルマジオ…』
イルーゾォの声に俺は目覚めた。すぐ横には厚い羽毛に包まったイルーゾォが小動物のようにぴったりとくっついて,俺を見上げている。少し釣り上がった大きな目といい,富士型にきつく結んだ唇といい,イルーゾォは本当に猫に似ている。
『…おはよう』
気付けば俺にも毛布が掛けられていて,俺達はベッドではなくソファの上にいた。昨日,イルーゾォを見送ってからどうやらソファの上で寝ちまったらしい。
『…イルーゾォ,お前は部屋で寝てたんじゃ…』
『待ってても来なかったから戻って来たら寝てたんだよ。…こんなとこで寝てたら風邪引くだろ??毛布持って来て,ここで俺も一緒に寝た。俺一人じゃホルマジオを抱きかかえて上まで登れないしね。』
『すまねぇなあ…』
少しふて腐れながら話すイルーゾォの頭をガシガシ撫でて,ぴったりと抱き寄せた。俺を待っていたなんて,どうしてこいつはこんなに可愛いのだろうか。
イルーゾォの髪から香る,シャンプーの華やかな香りを胸いっぱいに吸い込むと,微かに俺の汗の臭いが混じり込んできた。
…もう少し,いや…もっとこいつの匂いを嗅いでいたい。俺はそんな衝動にかられて,イルーゾォの顔へと伸ばした手は無意識に彼の唇をなぞり始めていた。
下唇の膨らみは上唇に比べて厚く,とても色っぽい。何度この唇を見て生唾を飲んだことか。
『…ん…』
俺がさらに指を中へと差し入れると,イルーゾォは少し呻いた。困ったように顔を赤らめながら俺の指をくわえる姿は何故だかとても卑猥だった。
『そ…そろそろ皆起きて来るから,支度しないと…今日,俺非番だからさ。』
俺が口から指を引き抜くと,イルーゾォは顔を赤らめたまま,そう言ってソファから立ち上がった。俺達のこうした姿を皆に見られるのが恥ずかしいらしい。
『なんだよ…んな事気にしなくても……あぁ,ったく,しょうがねぇなああ…良いところだったのに』
本当はイルーゾォを追いかけて再び抱きしめたかったが,俺の声に振り向いたイルーゾォに睨まれて,俺は渋々シャワーを浴びに風呂場へと向かった。
階段の窓際には昨日降り積もった綿のような雪が,朝日を浴びてキラキラと輝いている。
今日はイルーゾォの好きなあの菓子屋でケーキでも買ってやろう。俺達の出会いの日を祝う為に。
fin.
[追記] 以上,リメイク版『ナレソメハ』ホルイルでした!ここまで読んで下さったお客様にはスライディング土下座して感謝したいです!!
本当に拙い文章しか書けずに申し訳ございません(:_;)
うちのイルーゾォは女々しくて,ホルマジオは下心あるオッサンなんだ(特に後半)と,文書を書いてみて始めましてわかりました…(>_<)
私的にはリゾットが実際,仲間思いで凄くいい人だって事と,イルーゾォは綿雪の季節が似合うって事を読み手の方に伝わればと。
思いっきりBLを書きたいと悶々としている今日この頃です…\(^p^)/
誤字脱字,その他アドバイス等々ありましたら,拍手メッセージにてご報告下されば嬉しいです!!
ありがとうございました!!
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