あれから4年の月日が流れた頃だった。
『おおッ!!!ディモールト!!ディモールト!!君は良い母体になりそうだ!!俺のベイビィを受胎しないかッッ?!』
玄関先で変態…いやいやメローネの奴が声高に騒いでいる。
『メローネ,済まないがこいつは男なんだ』
メローネに真面目に答えるリゾットの声も聞こえる。
俺達暗殺チームは今やメローネとペッシを向かえて7人に増えた。リゾット曰く,今日も新人が増えるそうだ。
『しょうがねぇなああ……面倒臭せぇにも程があるだろうがよぉ…なあ,プロシュート…』
俺はプロシュートに同意を求めたが奴は弟分のペッシと談笑していて俺に見向きもしない。つまんねぇなあ…。
まあペッシみてぇな真面目な新人なら歓迎だが…メローネに至っては本当にどんな人選したんだって幹部に怒鳴り込みたくなる。絶対無理だけどな。
俺は重い腰を軋むソファから上げて,玄関へと赴いた。やけくそだ。俺の方から向かえに行ってやる。
『雪が吹き込むだろーがよぉ…早く入っ……』
玄関には長い黒髪と漆黒の瞳を持った,端正な顔立ちの男が佇んでいた。やや痩せ型の体形で背はメローネよりも低い。
『…ホルマジオ。』
少しはにかみながら,小さく低い声で俺の名前を呼ぶその男は,頬が少しこけてやや風貌は変わっているものの,紛れも無いあの日の少年そのものの立ち振る舞いだった。
『ぇっと…イルーゾォって…覚えてないかな…』
声が段々尻窄まりに小さくなって行く。イルーゾォは俯いた。外は美しい綿雪が舞っている。
『…いや,良いんだ,あの時は俺が何も話さ無かったから…じゃあ改めて』
『……イルーゾォ…』
俺の胸にイルーゾォの頭が当たり,俺は細い身体を強く抱きしめた。
『また…俺を追いかけて来たのか…?』
腕の中で,イルーゾォがこくりと頷いた。顔を上げたその瞳には既に涙の膜がうっすらとかかっている。
『泣き虫なのは変わってねぇなあ……』
『ホルマジオ…っ』
俺は鼻を鳴らして笑った。イルーゾォの後ろにいたリゾットが一瞬,ほんの一瞬だけ優しく微笑した。
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