第101χ 透視成功?ESPカード(前編)@




小説 Extra Story of Psychics より

朝、目覚ましのアラームで目覚めてテキパキと身だしなみを整えて、規則正しく朝食を食し、いざ学校へ。

学校にたどり着くと、隣の席で読書中の楠雄くんにおはようと声をかけて自分の席に座った。そして今日の授業のために鞄から教科書を取り出して机にしまう。
時折、今日は何を読んでいるんだろうと楠雄くんの小説のタイトルをチラ見したりして。

今日も変わりなく私は平凡な高校生活を送っている。
通学路の途中で勇者のコスプレをした男が涙ながらに警察官からの職務質問に答えていたけれど、いつもと変わらない平凡な朝だった。

最近、バタバタと色々な事件や行事に巻き込まれて派手にやっているなと思うところがあるかもしれないけれど、あれは平凡な高校生活から過激な部分が切り出された極々一部、氷山の一角なのだ。
そもそも何も起こらず、淡々に授業をこなしている風景を見せたところで見ている方も面白くもないだろう。

授業始まるまでまだ時間がある。
私も鞄から読みかけの小説を取り出すとゆっくりとその世界に没頭して行く。誰にも邪魔されない、これが私にとって最高の時間。
そんな時間もある人達によって簡単に奪われていくのだけれど。

「お?相棒、平凡!ラーメン食いに行こうぜ!」

その一人が今、声をかけて来た男子生徒はクラスメイトの燃堂くん。
ラーメンに誘うのは構わないけど、まだ授業すら始まってないから。気が早い。

「おはよう、燃堂くん。朝から元気だね。」
「おーす、平凡。今日ヒマか?おぉ?ならラーメン食いに行こーぜ!」

放課後の時の胃の調子次第だと不明瞭な返事を返すも、燃堂くんはラーメンの話を続行する。
人の話を聞けない人ではないけれど、一つ何かに夢中になると周りが見えなくなるのが彼の欠点だと思う。

無視を決め込む楠雄くんを横目に苦笑いを浮かべながら燃堂くんの話を聞いていると、やって来たのはもう一人の問題児。

「おはよう...ふふっ、こちらの世界線では、確かこう言うんだったな...?」
「おはよう、海藤くん。朝から元気だね。」

もう一人は中二病末期の海藤くん。彼も燃堂くんと同じで事あるごとに問題を持ち込んでくる。根は真面目で良い人なのだけど、こんな彼でもいつか中二病を卒業する時が来るのだろう。

「うっ、クッ!?朝っぱらから暴れるんじゃあないぜ...。漆黒の翼の名において貴様に命ずる...!鎮まれ...魔眼のカトブレパス...ッ!」

今日も海藤くんは絶好調の様子で何より。
しかし、二人がずっと私達に話しかけて来るせいで一向に小説を読むことが出来ず、苦笑いに段々と顔の筋肉が引きつってきた。

「ペチャクチャペチャクチャラーメン相棒平凡」
「ペチャクチャペチャクチャダークリユニオン斉木平凡」

私達を芸名のように呼ぶのはやめてほしい。絶対売れない気しかしない。
一応念押しして言わせてもらうけれど、私は好きでこのグループの中にいるわけじゃない。好きでいるわけじゃないけれど...これはこれで楽しいし、嫌いではない。

「オオッ!?すげえっ!当たった!」

突然、教室の前の方から歓声が聞こえて来る。
そちらに視線を向けるといつの間にか人集りができていた。その隙間から覗いてみると中心にいたのは同じクラスメイトの高橋くん。彼については私もよくは知らない。

「そのカードに書かれたカードは、丸だァ!」
「すげえ!また当たった!」

クラスメイトの反応に満足そうな笑みを浮かべている高橋くんの机を見てみると、そこには奇妙なマークの書かれたカートが置かれていた。





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