第67χ IFの世界 -Reverse- @




起きた瞬間、妙な「異変」感じた。
何か妙だ。一見いつもとは変わらない朝だけれど。

今日も変わらずに耳に届いてくるのは他人の心の声。もう朝だとか起きたくないとか、気持ちは分からなくもないけれど朝からネガティブな声を聞かされて、起きたそばから寝ていたくなるようなことばかり流れてくる。

その声に耳を傾けないようにしながらベッドから出て軽くその場で飛び上がれば、ふわふわと自身の身体が浮遊する。ふむ、空中浮遊も問題なさそうだ。

もう1つは...壁に向かって拳をぶつけようとしていたけどやめておいた。安易にこんなことやって、前方5キロを消滅させてしまったら本当に洒落にならない。

他にもパイロキネシスやら、サイコメトリーも試してみたけど使えるみたいだ。これで私には何も異変がないことが確認できた。
皆様もご存知の通り、私は超能力者だ。あるとこをきっかけに使えるようになったのだけれど...今は悠長に話している場合ではない。学校が始まってしまう。素早く制服に着替えるとカバンを持って、自身の部屋からいざ出発。

いつもは瞬間移動で学校近くまで移動するのだけれど...今日は家の前が異様に静かだ。窓を開けて確認しても人の姿がまったく見受けられない。見つけたのは通勤途中のサラリーマンと犬の散歩をしている主婦ぐらいだ。
普段なら楠雄ファンクラブやら、楠雄に一目見たいと沢山の人がいるから瞬間移動を使わざるを得ない。けれど、今日は待ち構える人すらいないようだ。ならば、たまにはゆっくり歩いていこう。私はちゃんと玄関から出て徒歩で向かうことにした。

通学路を歩いたのは何ヶ月ぶりだろうか。朝の日差しを浴びながら歩くのはこんなに心地よかったかな、なんて思いながらふと電化店に置かれているテレビの映像に目を向ける。

そこにはキャーキャーと女子の黄色い声を集める男が一人映っていた。彼は六神通。彼は笑いを取りに行くヨゴレ俳優だったはずなのに。いつからこんなイケメンポジションにいるようになったのか。
次に映し出されたのは、アメージング!で御馴染みの蝶野雨緑。スーパースターで知られる彼がマジックを小ネタに漫才をやっている。私の知っている彼らは真逆の人生を送っていた。

ここでようやく私は理解することができた。朝の違和感の正体が。
この世界は私がいる世界にとてもよく似ているけど、中身はまったく違う世界だ。どうしてこうなったのかは分からない。もしかしたら楠雄が何かやらかしたのかもしれない...まずは彼に話を聞くことが先決だろう。私は足早に学校に向かった。





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