君が悪い




「なぁなぁヒロト、ここがわかんないんだけど。」
「それはまずこの式をここに代入するんだよ。」
「あ、そっかぁ!わかったわかった!」

稲妻一家のリビング。小さなテーブルの上にプリントや教科書を広げてリュウジとヒロトは学校の宿題をしていた。二人は向かい合って、ではなく、隣同士で勉強をしていた。勿論、これはヒロトがそうしたかったからである。

ヒロトやリュウジの他には、キッチンには風丸が夕御飯を作っていて、ヒロト達から少し離れた所で次郎と有人がテレビを見ながら談笑していた。

「ヒロト!これであってる?」

リュウジはプリントをばっと広げて見せてきた。ヒロトはペンを回しながら答えを見る。

「…うん、あってるよ。」
「本当に?」
「嘘じゃないよ。」

ヒロトはくすくす笑いながら言うと、リュウジは花が咲いたような笑顔でやったぁ!と喜んでいた。ヒロトはそんなリュウジを見て思わず頬が緩んだ。

「本当に可愛いよリュウジは。きっとベッドの上でも可愛く啼いてくれるんだろうな。ねぇ?イチ。」
「ヒロト、それ以上酷いこと言ったら晩御飯抜きだからな。」
「そうしたら後で今日の晩御飯と一緒にリュウジも食べるから。」
「有人、こいつに言葉のキャッチボールを教えてやれ。」

風丸はとんとんと野菜を切りながら有人に話を振った。有人は小さくため息をついてヒロトの方へと体を向けた。

「ヒロト、取り敢えずそういう発言は良くない。」
「確かにそうかもしれないけどいずれかは知るんだから 。」
「そうじゃなくて、俺達はともかく虎丸とかに悪いだろう。」
「さっきからヒロト達は何の話をしてるんだよ?」

ヒロト達の会話についていけないリュウジはヒロトの服を軽く引っ張ってそう聞いてきた。キッチンで風丸は気にしなくていいと言っていたが、ヒロトはリュウジの頭を優しく撫でながら、後で教えてあげるからと言った。リュウジは緑色のポニーテールを揺らしながら、後でかよ、と頬をリスのように膨らました。そんな子供っぽい彼の仕草にヒロトは頬を緩ますばかりであった。そんなヒロトを見た次郎は気持ち悪いと呟いていた。

「ただいまー!」
「おかえり。」

玄関からぱたぱたと足音を立てて来たのは真一と虎丸と士郎だった。虎丸は真っ先に洗面所に向かい、 士郎と真一はソファに寝転がった。イチは二人に手を洗ってこいと注意したが、疲れただのなんだのとぼやいていた。そんな二人に苦笑しながらヒロトは二人の頭にある双葉を指の腹で弄くる。

「ヒロト、疲れた〜」
「はいはい、補習お疲れ様。」
「お母さん、俺晩御飯一緒に作りますよ!」
「あぁ、助かるよ虎丸。」
「ねぇ有人くん、キッチンにあるミカン持ってきて!」
「自分で取りに行けよ。」
「次郎くんは黙ってて。」
「ヒロトぉ、数学わかんない。」

次郎と士郎は小さな口喧嘩を始めて、真一はソファに寝転がったまま眠たそうにうとうととしていた。リュウジはヒロトの背中にもたれかかってぶーぶーと言っていた。ヒロトはぎゅうっとリュウジを抱き締めて可愛いだの 食べたいだの言っていたら、風丸の視線を感じて少し黙ることにした。


ヒロトは部屋で本を読んで寛いでいたら、コンコンと控えめなノック音が聞こえた。開いていた本を閉じて部屋を出てみれば、そこにはリュウジが枕をぎゅっと抱えていた。ヒロトはリュウジを部屋に入れてここに来た理由を尋ねた。

「どうかしたの?」
「…うん、ちょっと、ね。」

リュウジは理由を聞かれるなり視線はきょろきょろとしていて、明らかに何かあったようだった。ヒロトはリュウジの髪を少し弄くりながらふわりと微笑んだ。その笑顔にリュウジは軽く頬を染めて俯いた。

「…あの、ね、」
「うん。」
「なんとなくね、」

ぷいっとリュウジはそっぽ向いて小声でぽそりと呟くように言っ た。

「ヒロトと一緒に寝たいなって思って…」
「……………。」
「…だめ?」

ヒロトは口をぽかんと開けて呆然としていた。リュウジは枕をぎゅっと抱き締めて、上目遣いでヒロトを見る。はあぁ、とヒロトはため息をついてリュウジを見たら、少し不安げにこちらを見ていた。ヒロトはリュウジに手を伸ばしてするりと頬を撫でた。リュウジはきょとんとした表情でヒロトを見た。

「…リュウジが誘ったのが悪いんだからね。」
「へ?」

今度はリュウジがぽかんとしていたら、急に視界が反転した。リュウジは背中に柔らかい衝撃があって、ぱちぱちと瞬きを繰り返していた。目の前にはヒロトの顔と天井が視界に入った。ヒロトはにこりと笑ってゆっくりと顔を近づけた。

「 ひ、ヒロト…?」

リュウジはヒロトの名前を呼ぼうとしたが、その言葉はヒロトの唇で塞がれて発せられることはなかった。触れて、すぐに離れて今度は頬にキスを落とした。リュウジはくすぐったいと言ってヒロトの方を見た。ヒロトは満足そうに微笑んでいた。

「こんなところお母さんに見られたら大変だな。」
「大丈夫だよ、今日はキスをするだけだから。」
「今日はってなんだよ。」

リュウジはくすくすと笑って、今度は自分からキスをした。ヒロトはそっとリュウジの頭を撫でて、もう一度唇にキスを落とした。ヒロトはリュウジの唇をぺろりと舐めあげて歯列をなぞった。するとリュウジは口を小さく開けてヒロトの舌を絡ませた。ヒロトはリュウジの舌を舐めあげて、自分のそ れと絡ませた。リュウジの口の端からは飲み込めなかった唾液がゆっくりと頬を伝って流れた。

「っ…ふぅっ、んん、」
「ん…、ふ、」

リュウジはついに苦しくなってヒロトの胸をとんとんと叩いて、合図を送った。ちゅっ、とリップ音をたててヒロトはリュウジから離れた。リュウジははぁはぁと息を荒くして、涙目でヒロトをじっと見た。

「リュウジ、大丈夫?」
「ん、…平気、」

リュウジはふにゃりと笑ってそう言った。ヒロトはどきりと胸が鳴って視線を泳がせた。リュウジはきょとんとしてたら、ヒロトはため息をついてじっとリュウジを見つめた。真剣な表情でもう一度言った。

「……リュウジが誘ったのが悪いんだからね。」
「……え?」

リュウジはぽかん としていたら、ヒロトはリュウジの肩に顔を埋めて首もとにキスをした。音をたてて唇を離したら少し焼けた肌にはくっきりと赤い痕がついていた。

「ちょ、今日はキスをするだけじゃ…」
「言っただろう、リュウジが誘ったのが悪いんだからねって。」
「誘ってない!」

リュウジは顔を真っ赤にして首を横にぶんぶんと振った。ヒロトはふふ、と笑って今度は耳をかぷりと甘噛みした。リュウジはひゃあっと高い声をあげたあとすぐに両手で口を押さえた。ヒロトはそれを見て、加虐心が芽生えた。耳をぺろぺろと舐めたり、ふっ、と息を吹き掛けたりすればリュウジはぴくぴくと肩を震わせて必死に声を押さえた。そしてもうそろそろいいだろうと思い、ヒロトは片手を服に手を伸ばし脱がそう とした時だった。

「ヒロト!一緒に寝ようぜ!」

急に音をたてて開かれた扉には、枕を抱えた守がいた。リュウジは急な出来事にぽかんとしていたが、次第に顔を赤くして頭の中でパニックを起こし、ヒロトをどんと強く押してベッドから降りてしまった。そしてヒロトと目を合わせないまま早口で二人ともおやすみ、と言って走って自分の部屋に逃げてしまった。ヒロトは待ってと言って引き止めようとしたが、守がヒロトに抱きついてきて見事に邪魔をされた。

「ヒ〜ロ〜ト〜、一緒に寝ようぜぇ!」
「………………。」

ヒロトはひきつった笑顔を浮かべて守を見た。守はにこにこと笑顔でヒロトをじっと見つめていた。

「……守、」
「ん?どうした?」
「どうしたもこうし たもないよ。」

ヒロトは笑顔から一気に豹変して守の手首を強く掴んできっと睨んだ。

「君のお陰でリュウジが逃げちゃったじゃないかあぁぁああぁぁっ!!」
「え、ちょっ、まっ、ぎゃあぁぁぁぁぁああぁぁっ!!!!」

ヒロトは掴んだ手首をそのまま持ち上げて勢いよく投げつけた。守は弧を描いて頭から壁に打ち付けて白目を剥いてそのまま気絶した。ヒロトは守を廊下に投げ捨てて鍵をかけてそのままベッドに寝転がり、きっと今からリュウジの部屋に行っても会ってくれないだろうと思い、そのまま眠りについた。


君が悪い

(キスをしたいって思ったり、俺がこうやってお預けになったりするのも俺が悪いっていつも言うけど、)
(全部、君が悪い。)


ムクガッチャのえい 子様への相互記念で稲妻一家設定の基緑小説です!リクにちゃんと応えられたのか心配です…

だ、駄文ですみません…訂正とか受け付けます…


相互ありがとうございました!これからもよろしくお願いします!

――――――――――

…と、いう訳で!!!
きいろしゃんから相互記念小説頂いてしまいましたぁぁぁ!!///
きいろしゃんのサイトで連載されている、稲妻一家で基緑書いて頂いたんですが、もう…これ萌えるしかないよね……!///
うひぃ〜!///ほんま、リュウジ大好きなヒロトたまらんですwww^///^
素敵な相互記念小説、本当にありがとうございました!!
これからもよろしくお願いします(*´∀`*)




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