ヒ「緑川とデートしたい」


涼「奇遇だな私も晴矢とデートしたい」


ヒ「じゃあ組まない?」

涼「どういうことだ?」

ヒ「南雲も緑川もデートしようったって二人きりだと渋るでしょ?はずかしがって。だから最初はダブルデートで途中からはぐれたふりして別れよう」

涼「ビッチの分際で中々の案だな、それでいこう」

ヒ「素直に誉められた気がしないのは何故だろう」

涼「(スルー)じゃあ二人にメールしとく」



二人はあっさりオーケーし、明日の朝に駅で待ち合わせになった。


次の日。


緑「同じ寮なんだから一緒に出ればいいのに」

南「デートの鉄則らしいぞ」

二人はいつもより少し気合いの入った服を着て駅前に立っていた。


ヒ「お待たせ」

涼「待ったか?」


緑「全然!で、今日はどこに行くの?」

ヒ「新しくできた遊園地あっただろ?あそこ。」

南「げ、てっきりその辺ぶらぶらするだけだと思ってたからそんなに金ねーぜ?」

涼「大丈夫、こないだヒロトが福引きで当てたフリーパスがある」

緑「ヒロトは一体何をしてるの」

ヒ「結構買い物好きなんだ、ポイントやら福引きやらは結構利用してる」

緑「まぁいいけど。いこう!遊園地楽しみ!」

ヒ「良かった」


緑川が楽しそうにヒロトの手を握る。

ヒロトは一瞬驚きの表情を見せたが、すぐにいつもの優しげな笑顔で力強く手を握り返した。


涼「晴矢、手」

南「え、俺はいいよ」

涼「晴矢はすぐはぐれるからな。それ防止のつもりだったが…何を想像したんだ?」

南「…っなんでもねーよ」

涼「嘘、本当は手をつなぎたいだけ。」

南「…好きにしろ」


ヒ「まだ着いてもないのにハートがすごい飛んでるね」

緑「デートってそーゆーもんじゃないの?」

ヒ「そーゆーもんだよ、いこ、電車が来たよ」



四人は二つ先の駅で降り、手をつないだまま数分歩くと大きな観覧車を携えた遊園地が見えた。



緑「晴姉知ってる?ここの観覧車、てっぺんでキスしたらずーっと一緒にいられるってジンクスがあるんだって!」

南「ふーん興味ねーな余りにもお約束すぎてさぁ」

緑「ないの!?よくある話しだけどそこは流そう!?」

南「ねーよ、だって風介が離れるわけねーもん」

緑「…ご馳走様。因みに吹雪がやってみたらしいよ」

南「凄まじい説得力」


一生どころかあの世まで着いていきそうだ。



涼「どれからいく?」

南「ジェットコースター!」

緑「俺もー!」

ヒ「じゃ、行こうか」


ジェットコースターはフリーフォール系のやつで、ぐんぐんと上に上っていく。


緑「あ」

ヒ「どしたの?」

緑「スパッツはいてないや、どうしよう。まぁいーか」

ヒ「いくないよ!?最近佐久間のフリーダムがうつってない!?」

緑「そーかなぁ?」

ヒ「これ!」

ヒロトがとっさに緑川の髪を結んでいたリボンを解き、スカートを縛る(ジェットコースターの上)。


緑「う、ぁああああっ!」

ヒ「わぁああ!」


南「…っ!」


涼「なんだこの程度か」



そこからまっ逆さまに落ちるが、緑川のパンツは守られたのだった。


ヒ「楽しかったね、焦ったけど」

緑「また結ばなきゃ」

ヒ「解いてても可愛いよ?」

緑「…ならこのままにする」

ヒ「(本当に可愛いなぁ)」

南「次はどうする?」

涼「スリルが足りないからお化け屋敷などどうだろう」

緑南「却下ぁああ!」


ヒ「いいね、行こうか」


緑南「却下ぁああ!」


涼「丁度そこみたいだ、二人組らしいから私と晴矢が先に行く」

緑南「却下だってばぁああああああ!!」



二人の声は華麗にスルーされお化け屋敷に入ることになったのだった。




涼「あまりリアルじゃないな」

南「…死ね、知ってるくせに」


お化け屋敷の中で、南雲は涼野の腕にしがみついていた。


涼「何が?」

南「…っ怖いの苦手だってこと!」

涼「知ってる。かわいい子ほどいじめたくなるだろ?」

南「…そーか、風介もヒロトも実はサドいもんな」


ヒロトは隠れS。


涼「ま、私に捕まってればいいさ」

南「ふん、っひぁ」

ぬるりと首元を何かが這う。

南「な、」

涼「こんにゃくだ。よくあるな」

南「べ、別に今のは驚いただけでっうぁっ!」

涼「…ただの水漏れだ」

南「ぐぁあああさっさと行くぞ風介!っきゃああ!?!?」


顔がない人が井戸からじーっと見てるのを見た南雲は涼野にしがみ付く。


南「も、やっ、早くぅ…!」

涼「…無意識って恐ろしい」


驚いて涙目で、悲鳴がいちいち色っぽい南雲に涼野は全神経を集中させて我慢したのだった。




ヒ「わー暗いねー緑川足元気をつけてね」

緑「うぅ…怖いようやだよう帰りたいよう」

ヒ「こんだけ恐がってくれたらお化け役の人も喜ぶだろうね」


ヒロトは実にほのぼの、緑川はびくびくしながら進む。


緑「ひぁんっ!」

ヒ「何事!?」

緑「ぬ、ぬるぬるしたのが首元に」

ヒ「こんにゃくだね、あれ、赤い髪…さては晴矢もひっかかったな」

因みにヒロトはさっきからその辺りをふわふわしてるこんにゃくやら火の玉やらを華麗に避けていた。


緑「ヒロト…怖いぃ…」

ヒ「ほら、行くよ?」

緑「!?」

ヒロトは緑川をひょいっとお姫様だっこする。


緑「や、やめてよヒロト重いでしょ!?」

ヒ「へーきだよ、軽いなぁ。怖いんなら俺にしがみついてたらいい」

緑「…ん」


言えない、まさかさっきの緑川の悲鳴で息子が元気になり、見られたらまずいのでお姫様だっこしてるなんて。


しかも緑川は何も知らないのでぎゅーっとくっついてくる。


…勿論少ないながらも柔らかい2つの双丘も密着するわけで。


ヒ「(出た頃に治まるのかなぁ…頼むぜ俺の息子。)」


遠い目をしながら出たらすぐトイレに行こうと誓うヒロトだった。




緑「恐かったねー」

南「全くだ。昼飯奢ってくれるらしいぞ、何食う?」

緑「ほんと!?なんか悪いけどまぁいいか、俺オムライスがいい!」

南「俺カレー!」



男二人はトイレだから先に頼んどいてと言われたので二人の分も頼む。


緑「ヒロトは確か…ボロネーゼのパスタ」

南「風介はピザでいっか」


適当に頼み、席に着く。


ようやく事をすませたヒロト達が帰ってくる(何をしてたかはご想像におまかせします)。


ヒ「注文ありがと、じゃあ食べようか」

緑「いっただきまーす!」

南「本当に緑川は食べるの好きだな」

涼「一杯食べるのはいいことだろう。いただきます。」


四人は時折話を混ぜ込みながらそこそこのペースで平らげた。

ヒ「あ、緑川、俺向こうの迷路行きたい」

涼「晴矢、私はミラーハウスがいい」

緑「別れちゃったね…」

南「しゃーねー、後で携帯で落ち合おうぜ、行くぞ風介」

涼「ああ」

緑「そっか、じゃあ行く?ヒロト」

ヒ「うん!」


作戦はあっさりうまくいくのだった。



緑「迷路迷路!」

ヒ「緑川は方向音痴だけど大丈夫かな?」

緑「ヒロトがいるから大丈夫だよー!」

ヒ「…無自覚って怖い…!!!」

晴矢とは別の意味で危ない緑川だった。

緑「んー?」

ヒ「行こう」


迷路は割と単純な形なのかヒロトはすぐに理解したが緑川はぽかんとしながらヒロトの後を着いていく。

ヒ「結構広いね」


緑「ん。すごいね」


高い壁がより一層不安を掻き立てるのか、緑川はヒロトにぴとりと寄り添い離れない。

ヒ「今日は甘えん坊だね」

緑「…嫌?」

ヒ「全く。もっと甘えていいんだよ?」


お前はいつも一人でどうにかしようとしていたね。
甘えることを知らずに頼ることさえ出来ずに生きてきた少女。

今オレを頼ってくれてる、そう思うだけで顔が綻ぶ。

例えばそれを愛と呼べるのなら。

俺は全力で受け入れるんだ、彼女の全てを。



ヒ「あ、どうもここは真ん中みたいだね。」

緑「本当に?早いね!」


きゃっきゃと楽しそうに笑う緑川を見て思う。



今日来てホントに良かったな。



一方。



南「へぶっ」

涼「晴矢、もう34回目だよ」

南「う、うっせー!なんでお前はぶつかんねーんだよ!」

ミラーハウスでは、南雲がどかどか進んでは鏡にぶつかりのびていた。

涼「ちゃんとよく見ればわかる」

南「いやわかんねーよ!」

ぶちぶち言いながら涼野の手をつかむ。

涼「え、」

南「お前が、なんとかしろ…」

そういって赤い顔を反らしながら言う晴矢が鏡に映って沢山いる。


あ、私もうだめかも、


南「んっ、」

思わず目の前の愛しい娘にキスをしてしまう、しまった観覧車まで我慢してたのに。


南「んぅっ、ふ、ぅんっ」


ここまできたら仕方ない、満足するまで晴矢の口を楽しむことにする。


南「っはぁっ!な、な、なにすんでででっ」

涼「噛むなよ、したかったからした、だめ?」

南「だ、だめじゃ、ねーけど…」

涼「…あんま可愛いことばっかいうと寮まで持たないな」

南「な、も、行くぞ!へぶっ!」

涼「しょうがないな」


結局鏡に全力でぶつかりぶっ倒れた晴矢を、上機嫌でおんぶしてミラーハウスを後にした。




緑「晴姉!?どうしたのこれちょ、風兄何したの」

涼「ミラーハウスで鏡に全力でぶつかってね。」

ヒ「すごく晴矢だね」


携帯で落ち合うつもりが、観覧車でそのまま会ってしまった。


ヒ「さ、のるか」

緑「観覧車!」

涼「…私は晴矢が目を覚ましたら乗るから先に乗っててくれ」

南「っん、あ、れ?」

涼「神もびっくりなタイミングだ」

南「あれ、鏡は?」

涼「もう出たよ、それより観覧車乗ろう」

南「ん、あぁ」

緑「晴姉はほんとに細かい事気にしないよね」

ゴンドラが降りてきてヒロトが乗り込み、緑川に手を差し出す。


緑川もぴょん、と乗り込み扉が閉まる。


ヒ「楽しかったね、今日」

緑「そうだねー!あ、あれおひさま園じゃない?」

ヒ「あ、ほんとだ」


緑川が指差したのを見ようとヒロトが近づく。


ごとん


ヒ「わ」

緑「わぁっ」

ゴンドラのバランスが悪くなり、揺れる。

ヒロトが緑川を押し倒すように倒れこむ。


ヒ「いたた、ごめん大丈夫?」

緑「あ、ぅ」

ヒ「?」

真っ赤な顔で口をぱくぱくさせる緑川。

緑「ヒ、ロト、手」


ヒ「…あ、ご、ごめん!」


ヒロトの手が緑川の胸の上に置いてあった。


緑「うー…」

ヒ「ごめんごめん、大丈夫!責任取って結婚するから大丈夫!」

緑「そういう問題かな!?」

ヒ「なんだったら今ここで誓うよ。…ん」

緑「ふ、ぅんっ」


ヒロトが緑川にキスをする。

丁度ゴンドラは一番上にあった。



ヒ「一生幸せにしてあげるから大丈夫だよ」

緑「…っそんなの、知ってる!だって、おれ、ヒロトがいるだけで、幸せだし」

ヒ「〜ったまに反則だよ!もう一回したくなる」


緑「…して。」


ヒ「へ?」

緑「…キス、もっかい、してほし、っんむ」

そしてゴンドラが下から見える位置に来るまで、ヒロトは緑川の唇に貪るようにキスをし続けた。




南「はーなんか凄まじい1日だったぜ」

涼「君の脳細胞今日は死にすぎたよね」

南「黙れ」

涼「ていうかヒロトの奴は全く…」

ヒロトが緑川にキスをしているところは涼野のところから丸見えだった。南雲じゃなくてよかった、絶対止めに行くから。


南「ま、楽しかったからいーや」

涼「ああ。」

南「…あ、頂上だぜ」

涼「夕日が綺麗だな」

南「あぁ!」


涼野は、何事もなかったかのように夕日から目を反らし、南雲の手を抑え、キスをする。


南「…」

涼「驚かないんだな」

南「ま、二回目だしな。」

涼「ずっと一緒にいられるというジンクスがホントであることを祈る。」

南「バッカ、ジンクスなんぞじゃなくても、俺等が離れるなんてありえねーだろ」

涼「…だな。晴矢、愛してる」

南「っ!お、俺も」


そして再び二人の影が重なった。




遊園地を後にし、電車の中にて。


ヒ「また来よう」

涼「当たり前だ」


肩に寄り添って眠る恋人達を幸せそうに眺めながら、次のデートの話に花を咲かせるヒロトと涼野だった。













――――――――――
月桂冠の子守唄のいりあさんから相互記念いただきました!!!
宝部屋に飾るのが遅くなってすみません…!
私が基緑♀と涼南♀のWデートでって言ったら快くお受けくださって、しかもこんなに素敵な甘々カップル書いてくださったのです^///^
マジいりあさん女神!好き!!

本当にありがとうございました!
これからもどうぞよろしくお願いしますwww












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