正直にはっきり言おう。



俺の幼なじみは超が何個つくかわからないほど鈍感です。















「おはよう、ヒロト!」



名前を呼ばれ、ヒロトは振り向いた。振り向かなくても誰かわかるけど。





てててて、と満面の笑みで嬉しそうにヒロトに駆け寄ってくるリュウ。





ほら、また。

そんな可愛い顔して走ってたら(俺を含む)まわりの男に悪影響だろ!





ただでさえリュウのスカートは短い。中見えそう。たまにスパッツすら履いてないことがあるから、もうこっちとしてはたまったもんじゃない。

(男が中見るから)長くしろって口が酸っぱくなるほど言っているのに!





ヒロトはふう、とため息をつきながら立ち止まった。



「おはよ。」



「ね、一緒に学校言ってもいい?」





リュウはヒロトの隣にぴっとり寄り添って顔をあげた。





ほらまたー。

そんな上目遣いしないの!可愛いなちくしょう!





「いいよ。リュウがスカート丈長くしたらね。」



「えー、ヒロトお母さんかよ…」





文句たれつつもちゃんとスカートをのばす。よし、とりあえず今日は安心だ。





ヒロトが毎日毎時間虫をはらうのに余念がないことをリュウは知らない。

ヒロトがリュウに抱いている想いも知らない。



ここまでくると鈍感ってのは罪だと思う。





おまけに、リュウはヒロトのことを幼なじみ以上お母さん未満と思ってる節がある。





報われないな、と自分でも思う。



しかしどこの馬の骨ともわからない虫けらにリュウを渡すような真似はしない。



学校の連中はだいたい威嚇した。ちょっとは減ったかな、って思ったけど奴ら案外タフだ。まだリュウのこと諦めていない。そろそろ本気で股間を潰しにかかろうかな。







物騒なことをヒロトが考えていると、





「何怖い顔してるの?眉間に皺よってる。」





つん、とリュウがヒロトの眉間をついた。







ああもう!お前のせいだよ!





とは口が裂けても言えないのでなんでもないよ、と返す。

ふうん、と不満げに口を尖らすリュウ。そんなことしても可愛いだけだよ。





…ほかの男にも、こんなことしてるのかな。





いくら細心の注意をはらっても、見落としはある。だから彼女を狙う輩が後を絶たないのだ。





はぁ、とリュウに気づかれないくらいのため息をついた。











―――――――――――











がっつり疲れた。

今日も一日、元気に虫除けした。

あの子ほんと無防備。

今日はスパッツ履いてなかったし。ご飯粒は頬につけたままだし。体操着から下着透けてたし。







どすっとヒロトは自室のベッドに倒れこんだ。





こっちに振り向く気配がないのにこうやって虫除けするのは辛い。そろそろ自覚持ってほしい。





だんだん眠気が襲ってきてうとうとしていると、





「ヒロトー!!!宿題教えて!数学!」





ドアをぶち破る勢いでリュウが入ってきた。

ちなみに格好は短パンTシャツ。





ノックくらいして!

それ以前にそんな格好で男の部屋にほいほい来ちゃダメ!これも何回注意したことか。

あ、男と思われてない証拠か。





何となく起き上がる気になれなくて、ヒロトは突っ伏したまま沈黙。





「ヒロト…?」





近寄ってきたリュウはヒロトの予想をはるかに越える行動にでた。



「ヒロト、起きろー!」







どーん、とのしかかってきた。

衝撃は軽かったがさすがにびっくりしてヒロトは起き上がる。





起きた?なんて可愛く微笑んで言う。ヒロトの上で。もう一度言おう、ヒロトの上で。





何この体勢。





こっちの気も知らないで。鈍感にも程がある。





あまりに何もわかってなさそうなリュウに少し苛立ちを覚え、ヒロトは彼女の顔をがしっと手で挟んだ。

ちょっと怯んだ目でリュウはこちらをみる。





「…ねえ、俺だって男なんだよ。わかってる?こんな無防備な格好で、ほいほい来ちゃだめ。今だって、俺が力入れたらどうなるかわかる?もし何かされても抵抗できないだろ?ほかの男はもっと危ないよ。お願いだから少しは危機感持って。」





じゃないと俺がかわいそうだ。お前が大切で好きだから我慢できるけど、こうも鈍くて隙だらけだったらいつまでもつかわからない。ほかの男に、気づかないうちに食われちゃうかもしれない。



とはさすがに言えなかったが。





ぱ、と手をリュウから離した。少し荒療治だったかな。まぁ自覚を持ってくれるなら多少嫌われてもいいか。俺って健気。





リュウは未だにヒロトの上で俯いている。



はやく降りて、と言おうとしたときスパーンと頭を叩かれた。







「え、なに?!」



「こんなことするのヒロトだけだよ!ヒロトのバカ、鈍感!」





顔を真っ赤にしてそう吐き捨て、リュウはすごいスピードで部屋から出ていった。







…え、なにそれ。どういうこと。





言葉の意味を飲み込む。だんだん顔が熱くなるのがわかる。らしくない。





それって、期待していいんだよね?











ああもう、敵わない。



俺の幼なじみはすごい鈍感で、すごい無防備だけど、すごく可愛い爆弾を投下してくるから困る。





―――――――――――

(でも鈍感ってお前だけには言われたくないよ!)


















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f.noirの麻咲さんから相互記念で頂きました!!!
変態えい子のリクエストを聞いてくださり、鈍感緑川と苦労人基山のお話書いてくださったんですよぅぅぅ!!///
まじリュウちゃん可愛くて・冬。

ふひひ!///もう何度読み返したことかwwwww
家宝にいたしますwww
本当にありがとうございましたぁぁ!!




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