甘えたがり
「……あ、やっぱりここにいた。」
運動場から少し離れた、木陰に俺の探していた人物はいた。
思ってた通り、目元が赤い。
「………ヒロト」
「泣いてたでしょ?」
俺が言うと緑川はゴシゴシとユニフォームの袖で目元を擦り、「な、泣いてないよ!」と慌てたように答えた。
そんなバレバレの嘘を俺はやんわりと受け止めて、緑川は嘘をつくのが下手だなぁ、なんて思いながらにっこりと笑う。
「…緑川、地球にはこんな言葉があるよ」
突然俺が、レーゼだった彼のお決まりの台詞を口にする。
「…ヒロト?」
「笑う門には?」
「!……福来たる……」
「うん、正解。だから笑って?…ね、いいんだよ?たまには甘えても」
いつも無理する君だから。
俺の前ではいっぱい甘えてくれてもいいんじゃない?
まるで小さい子に「おいで」と言うように、俺は緑川に向かって両手を差し出した
「…子ども扱いするなよ……!」
緑川は少し頬を膨らませて俺を睨む。
……のだが。
赤い目元にまだ微かに残っている涙。
緑川からすれば睨んでいるつもりなのだろうが、俺からみると上目遣いにしか見えない。
…今直ぐにでも俺の方から抱きしめたい衝動に駆られたけど、俺は理性を総動員してなんとか抑えた。
うん、よくやった、俺。
絶対緑川の方から抱き着いてきて欲しい、なんて変な意地が生まれてきた。
「……来ないの?」
少し寂しそうな表情をして俺が問えば、黄緑の髪がすっぽりと俺に収まった。
「…ヒロト、ぎゅーって、して?」
………どうしよう。
何この可愛い生き物。
「もちろん、いいよ」
そう口にして、俺はようやく緑川を抱きしめて、吸い寄せられるように彼の口を塞いだ。
end
基山は緑川を見て色々我慢してればいいよ^0^
んで、それが爆発していつも歯止めきかない、とかね!←
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