※緑川が女装します。
※おバカな感じです。
※もはや単なる俺得でしかない。
ある日の昼下がり、部室にて
ここは雷門中学校の部室。
今日もイナズマジャパンでの練習が終わり、一段落してオレを含め木暮、壁山、栗松、立向居の一年グループでまったりしていたところだ。
「はい、緑川の負け〜!」
うしし、という声と共にオレは小暮から敗北宣言を受けた。
………最悪だ。
今のオレはまさに「絶望」という名に相応しい顔をしているだろう。
周りにいる壁山や立向居、栗松も心配そうにオレをみている。
オレは負けた。
ババ抜きで。
「じゃあ、約束通りやってもらうからね!罰ゲーム」
壁山たちが思わず「ひえぇぇ」と声をあげる。
そう、オレが今にも世界が終わりそうな顔をしているのは、ババ抜きに負けたからではない。
この、罰ゲームが嫌なのだ。
まさかオレが負けるなんてこれっぽっちも思っていなかった訳で。
「油断大敵」とはまさにこのこと。
罰ゲームで何をするのかは知らないけど、オレはそっと逃げる準備を始める。
「…まさか、逃げたりしないよね?」
部屋の奥をなにやらガサゴソと探っていた木暮が振り向いてニヤリと笑って呟く
「…オレを誰だと思ってるんだよ!逃げる訳ないじゃん」
売り言葉に買い言葉とはよく言ったもので、オレは木暮の挑発的な言葉に、気付けば勝手に返事をしていた。
「…で?罰ゲームって何すればいいの?」
こうなったらしょうがない。
とっとと、この罰ゲームとやらを終わらせて気分転換にサッカーしに行こう。
「おー!あったあった!!じゃあ緑川にはこれ着てもらうからね!」
木暮が部室の奥から引っつかんできたモノを見てオレは絶句した
……うん、ちょっとさっきのオレの言葉取り消したい…
木暮が取り出したものは雷門中学校の夏の制服だった
…しかも女子の。
「……は?え、ちょっと待って。この際この部室になんで雷門の女子の制服があるのかは置いといて……………本気なの?」
木暮め……!
完全にやられた…!
ただでさえ女顔だとからかわれるのにこれ以上それを助長するようなことはしたくない。
…実は前に一度、ヒロトに無理矢理女装をさせられて「可愛い」を連呼され続け軽くトラウマになっていたりする。
ホント最悪。
……どうしよう…
でもパッと着てすぐ脱げばいいかな……
幸い、ヒロトたちはさっき昼ご飯を買いにコンビニへ行った。
よし、一瞬だけ着て、すぐにこの罰ゲームを終わらせてやる………!!
「…分かった、着るよ」
「! そうこなくっちゃ♪」
ああもう、壁山たちはそこで静かに合掌しなくていいっての!!
* * *
「……はい、これで満足でしょ?」
ヒラリとスカートに翻してその姿を見せれば4人は各々口を開いた。
「うーん、なんか似合いすぎて面白くないなぁ」
何が面白くないだよ!
むしろ面白い方がよかったし!!
木暮いつか覚えてろ……!
「緑川さん!可愛いです!」
立向居はそんなキラキラした顔で見なくていいから!!
「緑川さんが女の子って言われても違和感ないでヤンス!」
「そうっス!自信もってくださいっス!」
いや、違和感あった方がオレとしては嬉しかったけどね?
てか、壁山は女装に自信持てってどういうことだよ…!
「……はぁ、もういい??オレ早く脱ぎた…」
「ただいまー!」
言いかけたオレの背後でキャプテンの声。
続いて、ドサドサッという物音。
振り返ればそこにはコンビニから帰ってきたみんながいて。
もちろんヒロトもいた。
その足元には昼食にするであろう冷し中華が無惨な姿で転がっている。
やば………
だから早く脱ぎたかったのに。
チームの前で女装とか何やってんだオレ…
恥ずかしくて死にそう……
「緑川………!」
オレの名を呼ぶヒロトの声は微かに震えている。
え?何であの人顔を赤らめてこっち見てるの?変態?…あ、今更か。
「あ、あんまり見るなよ!もう罰ゲーム終わったし、脱ぐから……」
「…罰ゲーム?」
ぴくっとヒロトが反応する。
あ、余計なこと言ったかな…
「え?誰がこれで罰ゲーム終わりって言ったのさ。緑川クンには今日1日、その恰好でいてもらうからね♪」
「木暮くんんんん!?オレそんなの聞いてないよ!?絶対嫌だからね!今すぐにでも脱いでやる…!」
「おおっとぉ?緑川の着替えはさっきこの木暮サマが回収いたしました〜!」
サァァァっと血の気が引いた。いや、マジで。
うしし、と笑うあのチビがもう悪魔にしか見えない。
木暮の奴、本当に覚えてろよ…
涙目で木暮の方を見れば、こちらに向かって親指を立てている。
何かと思ってたら、いつの間にか背後にきていたヒロトに肩を引き寄せられ、耳元で「かわいいよ、緑川」なんて囁かれて、オレのトラウマがまた蘇ってくるのだった。
end
緑川に女装させたかっただけ!
ド変態ですみまっせん><!
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