※パロ基緑のつづき…?






「ねぇ、いいでしょ?リュウジ」


いやいやいや!何がいいんだよ!

意味の分からない事を言いながら今日初めて会ったにも関わらず馴れ馴れしく話し掛ける赤髪の男、ヒロト。
この人がこの国の王子…!?今まで王宮なんて全く関係のないところで働いていたせいで、目の前にいる彼を王子だとオレの頭が認識するにはまだ時間がかかりそうだった。


…ただ、彼の身につけている服だとか装飾品だとかは平民のオレが見てもすごく高価な品物だということが分かる。
つまり、本物の王子か自称王子なのかは知らないが、とりあえずこの男は金持ちなのだ。

ならば、この国にある身分制度に従って自分は相手を敬い、敬語を使うのが礼儀。
ともかくオレは早くこのヒロトという奴の部屋から抜け出して市場に戻り、商売がしたかった。

「…あの、えっとー、オレが男だって分かったところで…ですね、そろそろ帰してくださいませんか…?」

「だから、関係ないって言ったじゃないか。俺は君に一目惚れしたの!…あ、それと敬語使わなくてもいいからね」



……あ、オレの「帰りたい」っていう意見は無視ですかそうですか。
くっそぅ…、こんな奴…!こんな奴がこの国の王子なはずがない!!

「一目惚れっていうけど…!貴方は!オレの意思を無視してまでオレを、そのっ、姫として迎えるってこと、なんだろ…っ!?」

「…君は男だけど、その辺の女性よりもずっと魅力的だし綺麗だよ」

「…な、ななな何言って…!?」

「……それに、今に君は俺に夢中になるよ。…いや、俺が夢中にしてみせる」


歯の浮くような台詞を平然と言う辺り、確かにこの人…王子なのかもしれない。

「ふふ、顔真っ赤にしちゃって可愛いね」

そう言ってヒロトはオレににじり寄り、頬に触れる。
あんな台詞言われたら真っ赤になるに決まってるじゃんか…!

頬に触れたヒロトの手はオレの顎へと滑り、くいっと掬うようにして上を向かされる。


この辺では見かけない、不思議な色をした翠の瞳についつい見惚れて、一瞬動けなくなる。
その一瞬を突いて重ねられる唇。

気付いた時には、キスされていた。



至近距離にあるヒロトの瞳には驚きの表情をしたオレがいた。

そのまま背後にあったベッドに崩れるようにして彼に押し倒される。


「……ぅん、っはぁ…んむっ……っ」

何度も交わされるキスにされるがままになって、抵抗するどころではない。
その間にキスはどんどん深くなる。

やばい……やばいよ…!
オレ、今日初めて会った人にちゅーされてんのに、嫌じゃない…?





窓を揺らすカーテンから漏れる夕焼けの光がオレにはやけに明るく見えたのだった。












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