本日あの日にて





※月一のあの日ネタ基緑♀
※大夢くん友情出演。
※大夢くんの性格いまいち掴めてません…












真っ青に澄んだ青空。



こんな空を見ると、いつもなら自然と笑顔になるし、癒されるんだけど…



「ううぅぅぅ………」


今日の私はその澄み切った空に反するような重苦しい唸り声を上げた。

…だめだ。今日は腹痛が特に酷い。加えて身体が怠くてふらふらする。
これだから2日目は嫌なんだよ…!
下腹部に感じるドロドロとした感触がずっと気持ち悪くてしょうがない。


長かった午前中の授業が終わり、昼休みへと突入する。私はと言うと、すぐにでも席を立ってトイレに直行………


……の、はずだった。





「……リュウ、どうしたの?授業中も顔色良くなかったけど…」

「……大夢、」


同じクラスで幼なじみの三浦大夢に捕まった。いつもなら気の合う大夢とのお喋りを楽しむのだけど……今日は無理!
ごめん大夢今日だけは私をトイレに行かせて…!!!ナプキン替えなきゃお昼にヒロトのところに行けないよぉ……!

なんて本当の事を大夢に言えるはずもなく私は力無い笑みを返す。


「大丈夫だよ、大夢。ちょっと昨日夜更かししちゃってさ!眠かっただけ!!」

「………そう?なら良いんだけど。…あ、あとヒロト来てたよ」

「……え!?」


ほら、と大夢が指を指す方を見れば教室の入口に赤い髪。

見ればヒロトが入口の扉に寄り掛かってひらひらと手を振っていた。


「…やばっ!ごめん大夢、私行くね!!心配してくれてありがと!」

未だに心配そうにする大夢に精一杯の笑顔を見せると大夢も少し安心したのか、笑顔を返してくれた。

机の横に掛けてあるお弁当を引っつかんで、慌ててヒロトのところへ走り寄ると彼はにっこりと微笑む。
いつもなら4限が終わるとすぐに屋上にいるヒロトの元へ駆け上がるからだろうか。彼が一学年下の自分の教室までやってくるのは珍しい。


「そんなに急がなくてもいいのに」

「や、その…ヒロトを待たせる訳にはいかないし!」

「じゃ、上行こうか」

「う、うん…」



しまった……
まさかヒロトが教室までやって来るなんて思ってなかったから完全にトイレへ行きそびれた…!

しかもこんな時に限って再び襲ってくる下腹部への鈍い痛み。

もう、やだ……!
生まれ変わったら男になりたい。
そんな私の暴走しかけた思考はヒロトの突然の呟きによって一時中断される。



「………あ、そういえば俺、飲み物買ってくるの忘れてた。リュウ、今日はもう中庭でお昼食べちゃわない?」

「…え?あ、うん…いいけど」


私が返事をしたのを確認すると、ヒロトは「あそこの木陰で食べようよ」と提案してさっさと踵を返して飲み物を買いに行ってしまった。





……今だ…!
今しかないよね……!?


ポケットにナプキンが入っているのを確認して素早く女子トイレへと駆け込む。
お腹の痛みも今は大分おさまって、楽になりつつあった。

毎度のことながら2日目のこの出血量を見ると、いくら元気が取り柄の私でも貧血で倒れそうな気分になってくる。
つくづく男子って羨ましい。










なんとか危機を乗り越えた私はさっきよりも気分的に楽になって、木陰でヒロトを待っていた。


「ごめん、リュウ!自販機並んでて…」

「ううん、全然!でも珍しいね、ヒロトが飲み物買うなんてさ。いつもはお茶持参じゃん」

「…あ、うん。だってリュウが……」

「……へ?わたし??」


歯切れ悪く答えるヒロトはお弁当を食べる箸を止めて、なんだかとても言いにくそうにしている。
私はというと、そんな様子のヒロトが珍しくて、ついまじまじと彼の顔を見てしまう。


「…ヒロト?どうしたのさ??私が、何?」

「…いや、何でもないよ。気にしないで。それよりお弁当食べない?」


正直、今お腹も空いてないしお弁当を食べる気分ではないのだが、ヒロトは一人お弁当を食べ始めてしまった。が、再び箸を止めて急に顔を上げたかと思えば、ボソリと一言。




「……あとさ、リュウ。お昼休み終わったら保健室行きなよ」

「…えっ?」

「…これは俺の予想だけど……リュウ、『あの日』だろ?」


少し恥ずかしそうに目線を逸らして言う彼。やはり中学生男子にこの話題は些かハードルが高いらしい。

…てか、なんでバレてるの!?


「ちょっ…えっ!?ま、待って!なんで私があの日って分かるの!??」

「…え?なんとなく、かな?なんか辛そうな表情してるしお腹押さえてたから……」



いや、普通に考えてそれだけじゃ分かんないでしょ!
私はどっちかって言うとみんなに迷惑掛けないように…と思って元気なフリしたり我慢してたりしてたのに!

………て、ちょっと待って。
じゃあ今まで私が痛みとか我慢してたのってヒロトには全部お見通しだったってこと!?


どんだけ私のこと…………み、見てる、んだよ……!!


「リュウはいつも痛いの我慢してるよね。たまには俺に頼ってくれてもいいのに」



顔に熱が集まるのを自覚しながら俯いた私は黙ってヒロトの話に耳を傾ける。

私たちが座る木陰にすぅっと爽やかな風が吹くとヒロトは早々に食べ終わったお弁当を手早く片付けていた。

「…ほら、手出して。食欲ないんだろ?俺が保健室まで連れて行ってあげるからさ」

「………うん」


目の前に差し出された手をそっと握れば、力強く引かれて立たされる。
たかが月に一度必ず来るもののせいで今自分がとても弱々しく思えて情けなくなる。いや、実際弱ってるんだけどね。

「さぁ、行こうか」


手を引かれて歩けば、前には彼の大きな背中。


「やっぱり敵わないなぁ…」

その頼りがいのある背中を見つめて私はそっと言葉を漏らした。












end


−−−−−−−−−−

基山くんに「あの日だろ…?」って言わせたかっただけなのになんでこんなに長くなったんだろう…?←
あと大夢くん出したかった^▽^
お茶会で派生したネタを今更ながら掘り返した感じになってすみませんー!><







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