ヤツがいた






朝。
俺はいつものように緑川を起こしに行く。

彼、実はとても朝が弱いんだ。
低血圧なのかな?
でもそんな彼にこっそり感謝してる。

だって、緑川のかわいい寝顔が見放題なんだよ?
本当に、緑川が朝弱くてよかった



コツ…

そして俺はある一室のドアの前で立ち止まる。

そう、ここが緑川の部屋だ。

さて、今日もかわいい寝顔をじっくり堪能しようwww


…そんなことを考えていたときだった。



ゴトッ

緑川の部屋の中から物音が聞こえてきたのは。

起きてるのかな?
「珍しい」と思うと同時に「寝顔が見れなかった」という残念な思いが込み上げる。

そしてドアノブに手をかけてドアを開けようとした瞬間、

「ひぁ…っ」


なんかすごいかわいい緑川の声が聞こえた。
なになになになになに!!??
部屋の中で一体何が…!?

俺は思わずドアノブから手を離し、代わりにドアへぴたりとくっついて耳をすます。
…今の俺の姿、誰かに見られたらきっと怪しまれそうだな
……いや、でも今はそれどころじゃない


「や、やだ……!こっち来んなぁー!!」

また緑川の声。
しかもかなり怯えてるようだ。
え…?この合宿所ってたしかみんな一人部屋のはずだけど……?
…中に誰かいるのか!?


緑川のかわいい寝顔を見た上に嫌がる緑川にあんなことやこんなことしようとするなんて!!!!!!(※妄想です)



ゆるせない!!!


「緑川!!!」

ついに我慢できなくなった俺は勢いよく緑川の部屋のドアを開けた。

「…ヒ、ロト……?」
「緑川っ!大丈夫か!?」



案の定、緑川は目に涙を浮かべてベッドの上にいた。
だけど部屋を見回しても緑川以外の人間は見当たらない。

ふつふつと沸き上がる、怒り。

「僕の緑川に手出すなんて、ほんといい度胸してるね………リュウジ、誰にやられたの?ちょっとそいつに流星ブレードぶち当ててくる」


「ちょ、ヒロト?何言って…」



そう言いかけた緑川はちらっと近づいた俺の横を見た……瞬間。

「ひあああぁぁぁぁ!!!」


思いっきり俺に抱き着いて…っていうか、しがみついてきた。

「えっ!?な、何!??俺、まだ心の準備が…」


心臓バクバクの俺。
だけど慌てた様子の緑川が耳元で必死で叫ぶ。

「何言ってんだバカヒロト!した!下をよく見ろ!!!」


緑川の言った通り自分の足元を見てみると




…………居た。

緑川をあんな風にした、超本人。
実を言うと、俺も苦手なんだよね。コレ。



「ヒロトなんとかして!!!流星ブレードお見舞いしてやるんでしょ!!??」

「たしかに言ったけど!!!…言ったけど!!だけど聞いてないし!!!相手が人以外なんて!!!!!!」

「てか、なんでヒロトも一緒に逃げてるんだよ!!こういうときはオレを守ってよ!!!」

「守りたいけど…む、無理!!俺あいつは生理的に受け付けないから!!!」

「ヒロトの意気地無しぃぃぃぃぃ!!!!!!!」



俺にしがみついたまま、離れない緑川。
その緑川をかかえて、必死に部屋の中を逃げる俺。




そんな様子をカサカサと壁を這う、黒光りする物体だけが見ていた。





End





初めて書いた基緑\(^O^)/
阿呆すぎる






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