君に釘付け



※高校パロと違って南雲が男です。
※基山くんはいつも通り残念←









「ちょ、待って!!待って、ってば!!」



窓の外から聞き間違えるはずのない、彼女の声が聞こえる。

何だろう、と思って廊下の窓から外を覗いてみると、持ち前の大きな声と緑の髪を揺らして中庭を全力疾走する俺の恋人。…と、もう一人。


「…はっ!それくらいで息乱してちゃ、まだまだだなぁ、リュウ!!」


真っ赤な髪にチューリップを生やした男、南雲晴矢が、俺の愛しのリュウを休み時間にも関わらず全速力で走らせていた。

いつもなら、光の早さで晴矢を殴りにいき、両肩で息をして苦しそうなリュウを助けに行くのだが、今日ばかりは事情があった。



『事情』と言っても、そんなたいしたものではなくて、昨日ふと、リュウが「持久力が欲しい」と言い出したのだ。
なんでも今度の体育でサッカーをやるから、少しでもチームに貢献したくて、の発言らしい。
元々リュウは運動神経が良い方で、ちょっと鈍臭いとこもあるけど、大体なんでもそつなくこなす。
…まぁ、確かに短距離と長距離どっちが得意かと聞かれたらリュウは短距離タイプだろうけど。


そういう訳で、リュウの話を聞いていた俺と晴矢と風介の内、彼女のチーム想いな一面に感動した晴矢が、持久力アップの特訓をする役を買って出たのである。










「は、はるやぁ〜!だから、ま…待ってぇ〜!!」

「休み時間終わるまで耐えろって!あともうちょっとだからよ!!」

「…ううぅ〜」


弱音を吐きながらも一生懸命ついていこうとするリュウに思わず頬が緩んだ

……時だった。





これでもかというくらい、足を広げて全力疾走し、晴矢を追いかけるリュウ。



俺は気付いてしまった。
制服のままで全力疾走する危険性に。


さっきからチラチラと見える白いもの。




スカートが翻り、足の付け根から見える、白いものと言えば一つしかないだろう。

……そう、パンツだ。


パンツかもしれない、と気付いてしまえば、俺はもうそこに釘付けな訳で。
そうか。今日のリュウは……白なんだな。
…って、何考えてるんだ俺は。

あの、チラッチラ見えるアレがパンツだと認識してしまった俺はとにかく中庭へ向かうために階段を駆け降りる。



「よっしゃ、リュウ!ラストスパートだ!走れっ!」

「うわあああん!!!」


外から泣きそうなリュウの声が聞こえる。
…泣きたいのは俺なんですけど!!


昨日の夜、俺があれほどリュウにスパッツを履け、と言ったのにも関わらず、彼女は履いていない。
きっと履くのを忘れてるんだと思うんだけど、それなら全力疾走なんてしないで欲しい。



中庭へ向かう間は姿が見えず、聞こえるのは声だけだ。
そのせいでさっきから俺の妄想は膨らむばかり。

晴矢はまだ幸いリュウのチラリズムに気付いていない。
しかし、あれだけ大きな声で叫びながらの特訓だ。
授業の間にある休み時間ということもあり、周りの生徒に注目されるのは必須だろう。
その注目の中でリュウがパンツをチラチラさせているなんて、考えただけでも悍ましい。今にも髪が逆立ちそうだ。





漸く中庭に到着し、声のする方へ急ぐ。
俺が思ってた通り、中庭を盛大に走り回ってる二人は生徒たちの注目を集めていた。
廊下を通りすぎながらちらりと見る者や、近くの窓枠に寄り掛かって眺める者までいる。



「は、はるや…っ!私、も、無理……っっ!!」

「たかが10分のランニングだろ!しっかりしろ!!」

「だからって……!」



「………リュウ!!」
「…へっ!!?」


リュウの姿を見つけるなり、半ば突進するようにきつく抱きしめる。
これでようやくリュウのスカートの下からパンツががチラチラ見えるなんて危険な状況から彼女を救えた。
よかった………本当に。


「…わっ、ちょっ、と…ヒ、ヒロト!?なんで、ここ、に……!?」

息を乱しながら、俺のいきなりの行動に混乱状態のリュウ。
リュウの声を聞いて晴矢がこちらに駆け寄って来る姿が見えて、俺は思わず晴矢を睨みつけてしまった。
…まぁ、晴矢が直接悪い訳じゃないんだけどね。でも、一般女子高生の体力を考えるくらいして欲しいものだ。


「ヒロト、どうした………って、なんでそんな睨むんだよ!俺別に何もしてねぇだろが!」

「……走らせ過ぎ」

俺の腕の中で必死に息を整えているリュウはまだ話をするにはキツそうだ。


「いや、だって体力つけるならあれくらい…」

「だからってね、あれじゃ危険過ぎるよ!」

「…は?危険??」

……おっと、つい口を滑らせてしまった。
恥ずかしがり屋のリュウのことだ。俺がリュウのパンツがスカートの下からチラチラ見えてました、なんて言えば確実に一ヶ月は口をきいてもらえなくなるだろう。


「いや、…その、リュウが走ってて転んだりしたら、危ないだろ?」

咄嗟に考えた言葉を口に出す。
過保護過ぎだ…、なんて晴矢は言うけれど、そんなことは一切無いと思う。
恋人に怪我をさせたくないのは誰だって同じだろう。


「ちょっと!さっきから黙って聞いてたらさぁ!!私そんな簡単に転ばないもん!!」

漸く息を整えたらしいリュウが、俺の腕から抜け出し反論する。


「うーん、どうかな。リュウはそそっかしいから……」

俺より少し前を歩いていくリュウのポニーテールを眺めながら言葉を濁す。

さっきまで生徒たちの注目を集めていた中庭も、いつも通りの静かな、落ち着いた雰囲気に戻っていた。
晴矢はと言うと、ついさっき、もうすぐ授業が始まるからと言って、俺とリュウを二人っきりにして、去っていった。
晴矢ナイス!と思ったけど、よく考えたらもうすぐ授業が始まるのって、晴矢だけじゃないよね?
…うん、まぁ二人っきりにしてくれたのはありがたいけど。


「そ、そんなに私こけてるっけ………って、うわっ!!?」

「ほら、言ったそばから…………あ、」


俺の先を歩いていたリュウが一体何に躓いたのか、いきなり前へつんのめる。
突然の出来事に、俺は彼女の身体を支えようと腕を伸ばした。

……が、あと数センチ、というところで手が届かず、リュウの身体は重力に従って倒れて、代わりに俺の視界が捉えた模様。



「……しましま」

前に倒れてこんでしまった為にスカートが見事にめくれ、俺に見てくださいと言わんばかりのパンツにまたもや俺は釘付けになってしまう。
いや…これを見るな、なんて言う奴は男じゃないだろう。


白地の布に控えめな黄緑色で横ラインが引いてある下着を見て、思わず模様を口走ってしまった俺が、真っ赤になったリュウに頬を叩かれたのは言うまでもない。











end

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お待たせいたしました!小冬さんリクエストの「緑子のパンちらに慌てる基山」です。
遅くなった上に、ぐだぐだと長くなってしまってすみません…!
しかも結局、基山くん緑子のパンちら見るどころか全部見てしまっている……^q^
そして基山くんが慌てているのかどうか分からない始末…
せっかく素敵なリクを頂いたのにそれを活かしきれてなくてすみません…!
小冬さんがにょたをリクしてくださってめっちゃ嬉しかったです!えへへ(*^v^*)

それでは、この度はリクエスト本当にありがとうございました!!




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