ファーストキス事情



※詳しくは「設定」をお読みください。
※風丸と緑川は先輩後輩ですがとっても仲が良いので敬語使いません……というマイ設定^0^←















「なぁ、緑川はキスしたこと、ある?」

「…なに?突然」

誰もいない放課後の教室。
机を中心に向かいあって座る女子が2人。



「この前な、テレビ見てたらファーストキスはレモンの味がするって言ってたんだ。それで、どうなのかなって」


「…風丸は円堂キャプテンと付き合ってるでしょ。キス、してみたら?」

人差し指をピンと立てて尋ねる風丸に、頬杖をつきながら答える緑川。


「……い、いや、その、ふぁ…ファーストキスがいつだったか、覚えてなくて………」

「…へ?どういうこと?」

うろたえた風丸に思わず身を乗り出す緑川。
いつも落ち着いている風丸だからこんなうろたえる姿は珍しい。


「ほ、ほら!私と円堂って幼なじみだろ?小さい頃から一緒にいるから、なんか、その…成り行きで……ちゅーしたり、とか………うん」

「へぇ〜!風丸ってお堅いイメージだったけどやることやってるんだ〜!」

「ひ、人聞きの悪いこと言うな!…緑川はどうなんだよ?」

顔を真っ赤にして答える風丸はどうにか話題を逸らそうと緑川に話を振った。
そもそも質問したのは風丸の方だ。



「…どうって?」

「…キス、したことあるのか?」


「………………ない。」

長い間があった割には、答えはつまらないもので。
風丸は「なにか裏があるのでは」と直感的に感じ取った。



「あれ?緑川って基山と付き合ってなかった?」

「ばっ!なんでそうなるんだよ!付き合ってないし!!」

顔を赤くして言い返す姿を見て、風丸は「分かりやすい反応だな」と内心ほほえましく思う。



「でも幼なじみだろ?他の人よりいっぱい一緒にいるんだから……さ」

「幼なじみはヒロトだけじゃないもん!風介と晴も幼なじみだもん!!」

「えー、じゃあ緑川ってファーストキスまだなんだ?」

「……………う、うん」

やっぱり歯切れの悪い緑川。
緑川が何かを隠しているのは一目瞭然で。
風丸がどうやってそれを暴いてやろうかと考えていた時だった。




教室の出入口で声がした。



「なーに言ってるの」

「うぇっ!?」

「あ、やっほー基山ー」

そこにはついさっき話題に上った人物がいて。
つかつかとこちらに向かって歩いてくる。


「緑川したことあるだろ?
 俺と。忘れちゃった?」

「ヒ、ヒロト!なんでここに………!?」

「今日一緒に帰る約束してたよね?緑川が遅いから迎えにきたらさ、なんか面白い話してるから、つい」

「ぬっ、盗み聞きしてたのか!」

「やだなぁ、盗み聞きなんて人聞き悪いよ緑川。たまたま聞こえてきただけだって。聞かれたくないなら小さな声で話さなきゃ」

いつものように人当たりの良い笑顔を向ける基山はなんだかご機嫌だ。


「…で?どうなんだ??基山と緑川ってキスしたことあるのか???」

「うん、あるよ」

「………〜っ!ち、小さい頃の話だろっっ!!?」

「でも、事実だよ?」

「やっぱ緑川もキスしたことあるんじゃないか!なんで私に隠すんだよ!」

「〜〜っ!!だ、だって小さい頃のだし、ノーカウントかな…って………!」

「そんな訳ないだろ?…んー、でもあの時レモンの味なんてしなかったな……。緑川は?」


いつの間にか風丸と緑川がいる机のそばにきてナチュラルに会話に混ざっている基山はじっと緑川の顔を見つめた。



「……してない」

「だよねぇ。むしろキスの前に食べてたイチゴのかき氷の味が濃厚で……」

「だあああぁぁぁ!!!そんな詳しく話さなくていいから!!!な!早く帰ろう!?」

いきなり過去の恥ずかしい話を掘り起こされて、緑川は椅子から立ち上がって基山がこれ以上話さないように阻止しようとした

「赤くなっちゃって、ほんと緑川って可愛いよね」

「からかうなよ、バカ!!もう帰る!!!」

そう言い残してガタンと椅子から立ち上がった緑川はさっさと教室を出て行ってしまった。

「じゃあね、風丸さん。」


終始笑顔を絶やさなかった基山は「円堂によろしく」と言葉を続けて緑川を追いかけるために教室を出ていった。



「…なんであの2人って付き合ってないのか分かんないな」

ポツリと零した風丸の独り言は誰もいない教室に静かに響いた。








end


幼馴染みおいしいです\(^O^)/








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