お楽しみはこれからです。



南倉♀+蘭拓♀







灼熱の太陽。その太陽の光がアスファルトから照り返す。
現在の時刻は午後1時すぎ。
1日の中で最も暑くなる時間帯である。


「あああー…あーつーいー!!」

「…声に出して言うなよ、余計に暑くなる。あとスカートから空気入れようとするのヤメロ」

「だって暑いもんは暑いんですもん。あと、スパッツ履いてるんで大丈夫です」

「……あのなぁ、そういう問題じゃなくて………」

「…?じゃあどういう問題なんすかー??」



本当に意味が分からないと言うように、倉間が俺の顔を覗き込んでくる。
あああ…もう、倉間の奴なんで第2ボタンまで開けてんだよ。………ブラ見えたし。

ただ今、午前中の授業が終わって昼休み中である。
俺と倉間はいつも普段あまり人の来ない校舎裏の日陰で昼食を食べていて、付き合い初めてから2ヶ月、お互いの都合が合えばここでお昼を共にしていた。


そして倉間と付き合って分かったこと。それはアイツが女としての意識が低過ぎることである。
スカートは膝上、ブラウスは第二ボタンまで開けるのは当たり前。
この前なんか俺が居る前で着替えようとするから焦った。……あれは本当に焦った。



確かに倉間は小学校の頃からサッカーをやっていて、男の中に混ざることなんて普通なのかもしれない。
けれど、部活や教室で見かける度に他の男と楽しそうに話してる姿を見せられてる俺の気持ちにもなって欲しいものだ。



「………………はぁ」

「…あっ、何ため息ついてるんすか!?幸せ逃げますよー?」


夏の空みたいに爽やかなスカイブルーの髪を揺らして俺に抗議する彼女。
…………ため息吐かせてんのは誰だよ。


さわさわと生ぬるい風が俺たち2人の間をすり抜ける。
いくら日陰だからと言ってもこんな風だと涼しいと感じることができなくて、背中を一筋の汗が伝う。




「………………あ、」

「…倉間?」


少し前から沈黙が続いていた空気に倉間の声が入り込んだ。



「神童がいる」

「ほんとだ…霧野もいるな」

あいつらもお昼をここで食べようと来たのだろうか。ご丁寧に手を繋いでこちらに向かってきた。
余程2人の世界に入り浸っているのだろう、こちらには全く気付かずに少し離れた木陰に腰を下ろしていた。



「…あいつら、全く俺たちに気付いてないな」

「……ですね。もう、なんか、ほんとバカップル…」


苦笑いしながら目を逸らす倉間が食べおわったお弁当を片付けている。
俺も残っていた弁当のおかずを口の中に突っ込んで、適当にお茶で流し込んだ。



「…………っ、あいつら…!」

お茶を飲み込み、口元を拭っていると隣から羞恥に耐えるような、倉間の絞りだすような声が聞こえてきた。
何事かと思って、俺も倉間が向けている目線の方を見る、と。



「………あー…なるほど」

目線の先には霧野と神童。
しかもベンチの上で霧野が神童を今にも押し倒しそうな状況である。

「…南沢さん、なんかさらに暑くなってきました」

「……よし、じゃあ俺がもっと暑くしてやる」

「………………は??」

相変わらず暑いからと言ってパタパタとスカートを上下させる倉間を見てさすがの俺も我慢の限界に達した。


「…ちょっ!ちょ、み、みみ南沢さん!?」

慌てる倉間の褐色の肌に俺の影が落ちる。
どうせ向こうに座ってる霧野や神童もこっちには気付かないだろう?忙しなくパクパクと動く小さな口を噛り付くように塞いだ。

逃げられないように後頭部と腰をしっかり持ってやると倉間は俺の制服をくしゃりと握り潰した後、ドンドンと思いっきり胸を叩く。

「…ん、んんんっ!!!」



……毎回思うけど、倉間って息短いんだよ。
まだ十分に堪能できていないが彼女が酸欠で倒れられても困るので名残惜しいが唇を離す。

「………っぷは、はぁ、…み、南沢さん!!!あいつらが!!霧野と神童が!!!あそこにいるのに何てこと…………っ!!」

「おーおー、顔真っ赤じゃねぇか」

「誰の所為だと思ってんすか!」

「…えー……、俺?」

「アンタの他にいないだろーがっ!!」


倉間の目を見てにんまりと笑えば更に顔を赤くした倉間に頬をつねられた。
まぁ、愛しの彼女に頬つねられても痛くないんだけど。
顔をリンゴのように真っ赤にさせて怒る倉間は俺を煽るだけで、逆にむくむくと沸き上がるこのどうしようもない感情を抑えるのにはもう限界がきていた。


「……なあ、倉間ァ」

「………な、なんすか」

どうやら倉間も俺の気持ちを感じ取ったらしい。
怪訝そうにした片目がこちらを見つめる。視界の端に霧野と神堂がイチャついてるがそんなの俺はお構いなし。



「今すぐ俺とヤら……」

「…っ!お断りします!!!!!」


再び唇がくっつくまであと3センチくらいだったのに、驚く程の速さで身を翻し、倉間は脱兎のごとく逃げていってしまった。
相当焦っていたのだろう、倉間の弁当箱は未だに俺の座るベンチに置かれたままだ。



「あーあ、……冗談だったのに」

なんて、心にもないことを呟く。

だって、霧野と神堂は俺たちがいてもお構いなしで普通に人前でイチャついてるっていうのに。
たまには俺らも学校でイチャつきたいと思ったのだが…。倉間の恥ずかしさはそれを上回っていたらしい。


逃げる前の倉間の顔を思い出して、思わず吹き出す。
自分のと倉間の分、2人分の弁当箱を持って立ち上がり、今度はどうやってあいつをからかってやろうか俺は考えを巡らした。


………あ、もちろん昼の続きは放課後きっちりやるけどな。







end

――――――――――

蘭拓要素をもっと入れたかったのに入りませんでした……(^o^;
たまには異性と仲の良い倉間♀に焦る南沢さんがいてもいいんじゃないかな……!?






「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -