「退屈………ですね」

僕は誰に言うわけでもなく、一人で呟いた。

本来、2限目に当たる時間。

僕は学校ではなく、家でベッドに寝ていた。

理由は風邪。

昨日の放課後練から少し体がダルかったが、まさか熱まででるとか思わなかった。(しかも38℃)

少し下がってきたがまだ頭がクラクラする。

朝、火神君にメールしたところ「首にネギ巻いとけ」と意味のわからないアドバイスを貰ったが、実践はしていない。(やったら窒息死する)

とりあえず、今日はゆっくり寝るしかない。


ピンポーン


………誰でしょう こんな時に。

今日にかぎって父も母も出張中、ダルい体を引きずって玄関へ向かう。

「はい どちら様です…」

「黒子ォォォグハッ!!」

扉を開けた瞬間に何か黄色いものが飛びついてきたので、僕はイグナイトパスの要領でそれの腹を殴り沈めた。

全く、病人になんて無茶をさせるんだ。

「いや 一発で相手を沈めるヤツを病人とは言わねえよ」

少し呆れ気味の声が聞こえたので前を見れば青、赤、緑、紫とカラフルな頭。

「あれ? なん……」

どうやらムリをしすぎたようで、僕の意識はここで一度途切れた。





「ん………」

背中に柔らかい感触。僕はベッドに寝ていた。

やれやれ、さっき見たあのカラフルな人達は夢だったようだ。

全く、なんて夢だ。

時間を確認しようと瞼をあける。

「テツヤ 起きたのか」

「ヤッホー黒ちん まいう棒食べる?」

「僕はまだ夢を見ているようですね ではおやすみなさい」

「おい 夢ではないのだよ」

目の前にはあの色とりどりな人達、キセキの世代のみんながいた。

「というか 何故君達がここにいるんですか? 今日 平日ですよね?」

「サボったに決まってんだろ」

答えたのは青峰君。

決まってるって………普通はダメな方に決まっている。

「大丈夫っスか黒子っちィィィィィ!」

「帰ってくれませんか? スッゴく目障りなんで 特に黄瀬君」

「ヒドッ! でもそんな黒子っちも好き!」

本当に騒がしい。

下がり始めた熱がまた上がりそうだ。

帰って欲しい。切実に。僕のそんな思いとは裏腹に、彼らは何故かじゃんけんを始めようとしている。

「………何してるんですか?」

「テツヤの看病の役割を決めているんだ さぁいくよ」

いや、人の看病をじゃんけんで決めないでくださいよ。

内心ツッコんだが、もちろんこの人達が聞くわけが無いので口には出さない。

『じゃんけんぽん!』

勝ったのは青峰君と緑間君。

どうやら勝った人から役割を選べるようで、青峰君と緑間君は僕の近くで様子を見ていたりするのを選んだ。

僕の意志は無視ですか。

残りの3人もなにやら役割を決めて部屋から出ていく。

何をするつもりなのかは気になるものだが、それよりも気になることがあった。

「あの 枕元に置いてあるコレはなんですか?」

「狛犬に決まっているだろう」

そう、僕の枕元には何故か狛犬の置物が置かれていた。

「いえ それは何とかわかったんですが……… 何故あるんですか?」

「フッ ラッキーアイテムに決まっているのだよ」

ああ………やっぱりですか(というか、こんな物がある時点でそれしかありえない)。
「今日の水瓶座は最下位だったからな 来るときに買ってきたのだ」

得意気な顔をしていますけど、かなり無駄な事に使ってるんですよ。君。

「テツ 風邪なら首にネギ巻いとけ ぜってー治っから」

「青峰君 僕を殺す気ですか?」

火神君と同じことを言いだした。

バカはみんな同じことをいうのかと疑いたくなる。

早くも二人に呆れていると、台所から何かの匂いが漂ってきた。

そういえば、朝から何も食べていなかったことを思いだす。

「なんの匂いですか?」

「料理の係になったヤツが何か作っているのだろう」

「はぁ……」

「そういや 腹ヘったな」

「君も食べる気なんですか………」

もうツッコむのにも疲れてきた。

体調が更に悪くなりそうだ。

「黒ちーん お粥できたよー」

と、紫原君がひょっこりとドアから顔をだした。

料理の係は紫原君だったようだ。

「ありがとうございます」

お腹も空いているので、素直にいただくことにする。

ベッドの近くにあったテーブルに小さめの鍋が置かれ、蓋をあけると、「…………紫原君 これ お粥………ですよね?」

「うん そうだけど?」

「浮いてるコレはなんですか………?」

紫原君が作ったお粥(らしきもの)には何かが浮いていた。

「んー これがまいう棒でこれがポテチでー」

「もう結構です………」

だから油が浮いていたんですね………

「なんでお菓子をお粥に………」

「えー だっておいしいでしょ?」

「別々に食べるからおいしいんです」

それに、病人にこんな脂っこいものはダメだって知らないんですかね?(………知らなそうだ)

「………やっぱり お腹は空いてないので大丈夫です」

「そぉ?」

「テツいんねーの? じゃあ俺食うわ」

遠慮なんてせず、青峰君がお粥を食べ始めると、紫原君が凄い勢いで青峰君を睨みつける。(青峰君がそんなに嫌いなんだろうか)

その前に、あんな脂っこいものをよく食べられるものだ。少なくとも、僕には食べられない。

だが、お腹が空いているのはどうにもならない。

かといってこのお粥は食べられそうにない(お粥は青峰君が完食しそうだ。味はまあまあらしい。)からどうしようか………

すると、再びドアが開き、入ってきたのは赤司君と黄瀬君。
手にはビニール袋を数袋持っていた。(ちなみに、赤司君は一つも持っていない。黄瀬君が凄く重そうにしている。)

中からは食材や薬などが見てとれた。

「赤司君に黄瀬君 どこに行ってたんですか?」

「そこのスーパーまでいろいろ買いに行ってたんスよ 黒子っちが食べやすそうなゼリーとか あと風邪薬とか」

「あ ありがとうございます………」

まさか薬まで買ってきてくれるとは思ってもみなかった。

なんだか申し訳ない気までしてくる。

「ほら黒子っち! 俺が口移ししてあげるっスから!」

………前言撤回。この人はなんでここまで残念なんだろう。

あ、赤司君にハサミむけられた。

しぶしぶ引き下がった黄瀬君と入れ替わりに、今度は赤司君が僕の前にくる。

「テツヤ 口を開けて」

「え?」

「僕が食べさせるんだ 早く開けろ」

「は はい………」

赤司君が人にこんな風にするなんて、天変地異でも起きるのだろうか?

「あーん」

「あ あーん?」

赤司君に言われるまま口を開けると、口の中に心地よい冷たい感触。

うん、美味しい。

赤司君も満足そうだ。

少し恥ずかしいが引き続き赤司君に食べさせてもらっていると、台所から黄瀬君の声。

「ちょっ 紫原っち!! どんだけ食器使ってんスか!!」

「そんなに使ってないけど」

「台所 凄いことになってんじゃないっスか!! 誰か手伝って!!」

黄瀬君に呼ばれ、赤司君以外のみんなが台所へいった。

と言っても、きっと手伝わずに見ているだけだろう。

赤司君もひやかしにいくつもりなのか、立ち上がった。

「まったく 君たちは学校をサボって何をやってるんですか」

「テツヤの看病だよ」

微笑しながら赤司君は続ける。

「僕達の大切なテツヤがこんな状態なのに 学校なんかに行けるわけないだろう?」

そして赤司君も台所の方へと消えた。

「………そういうのを屁理屈って言うんですよ」

風邪をひいただけで休むなんておかしい。






風邪も迂闊にひけません






そんな事を言ってみるが、


実際嬉しいと感じる僕もいて。








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小豆様リクの黒子総受けですが………

いろいろgdgdでスミマセン;;

黄瀬の扱いがヒドい………

こんなので良ければ、小豆様のみお持ち帰りください!!

リクエストありがとうございました!!


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