10/14、日曜日。
普通は休みの筈の今日、俺は学校に登校してた。
理由はいつも通り補習。
この前のテストで見事に全て赤点をとってしまった。
それでも本来なら、昨日の補習テストだけですんだのだが、俺はそこでも赤点(27点だったのはある意味奇跡だったと思う)。
補習は二日目に突入した。
教室にいるのは今のところ俺一人で、先生もまだ来てない。
山本は昨日のテストで赤点をとらなかったので、今日はこない(ちなみにそれは彼の頭のいい彼氏のお陰だったりする)。
「あーあ なんで俺だけなんだろ 勉強会は三人でやったのになぁ……」
そんな呟きも、一人っきりの教室に反響して消えていくだけで、誰も返事をしない。
課題のプリントを解く手を止め、窓の外の空をみる。
キレイな青空だ。
昨日はうちに帰るとパーティーをやっていた。
10/13は俺の家庭教師の誕生日。
だからみんな集まって楽しくお祝いした。
そう、昨日は。
今日、10/14は俺の誕生日。
去年もだったが、誰一人として俺の誕生日を覚えてなかった。
昨日の時点で言おうかと迷ったけど、さすがに去年のような痛々しいヤツになるのはイヤだった、そして誰かに気づいて欲しかったから言わなかった。
とにかく、今日は日曜日で、しかも誕生日なのに俺の気分はとても憂鬱。
「ハァ………」
思わずため息をついた時、教室のドアがいきなり開き、驚いた反動とイスによりかかりすぎてたから後ろに倒れてしまった。
「うわぁっ!?」
「お 遅れまし……あれ?ツナ…君?」
「え 炎真!?」
今日の補習は完全に一人だと思ってたから、炎真の登場には本当に驚いた。
しかも、何故か服はボロボロだ。
「どうしたの服!?」
「犬に追いかけられて…ツナ君こそどうしたの?」
「イスによりかかりすぎちゃって…」
「そっか」
ニヘッと笑う姿はボロボロな服や寝坊したのか、ボサボサな髪と合わさってどこか間が抜けてて、思わず笑ってしまった。
「あははは!!ホント炎真って犬に追いかけられやすいよね」
「そうかな?」
「うん なんかいっつも追いかけられてる気がする」
「そういえばそうだね ツナ君こそ いっつも転んだりしてる気がする」
「確かに」
そうして、また二人で顔を合わせると笑った。
さっきまであれだけ暗い気分だったのに、炎真が来ただけでとても明るくなる。
やっぱり俺は炎真が好きなんだ…ということを実感する。
そう思うと無性に恥ずかしくなり炎真から顔を逸らした。
*
補習が終わった帰り道。
結局補習だったのは俺と炎真だけみたいで、二人で補習をうけ、そのまま下校してた。
補習は午後からだったから、今はすっかり夕方だ。
空は淡いオレンジに変わっている。
「課題いっぱいでたね…」
「うん…」
俺達のバックは出された課題で重くなっていた。
実際には大して重さは変わってないだろうが気持ち1kgくらい重くなった気がする………
誕生日なのに、プレゼントは課題のプリントだけ。
痛々しかったとしても昨日言えば良かった。
無意識にまた口からため息。
「ツナ君」
不意に、炎真が俺に声をかけた。
今まで下げていた目線をあげる。
「僕さ 夕方って過ぎなんだ」
「え?なんで?」
「町も 空も 全部ツナ君の色だから」
炎真はそういったけど、今の俺の視界は炎真でいっぱいだった。
唇に暖かい感触。
炎真にキスされたというのを理解するのに、頭の悪い俺でもそう時間はかからなかった。
「な…えんっ」
「ツナ君 お誕生日おめでとう」
ふわりと優しく笑った炎真は、オレンジ色に染まっていた。
大空のオレンジ。
俺の色。
「プレゼント 用意できなくてごめんね?昨日 リボーンにきいたからさ」
照れくさそうに頬をかく炎真。
顔は赤いのかもしれない。
でもきっと、俺のほうが赤い。
みんなに誕生日を忘れられたことも、補習だったことも、課題がたくさんでたことも忘れて、今はただ幸せ。
たった一人でも君が覚えていてくれたことが、何よりも嬉しい。
「ううん………スッゴくうれしいよ」
俺も、炎真に笑いかけた。
今日この日を
笑顔で過ごせたのは
君のおかげ
†**++*+*†*+*++**†
あ 甘い………!!
想像以上に甘くなってしまった………!!
とにかく、ツナハピバァァァァァァ!!
愛してるよぉぉぉぉぉぉ!!