***



「ひ、雲雀さんと骸!?」

「なんでアイツらが一緒に…!?」

「珍しいのなー」

既に朝会は終わり、雲雀の仕事は休み時間の見回りから始まった。

休み時間ごとに各階回っていた二人は偶然、2年A組の教室前へと訪れていた。

「チョコ美味しそうだね、僕にもくれる?」

「え、あ、あの…」

「僕の口調を真似するなキモい、大体チョコなんて持ち込み違反物だよさっさと取り上げて」

「全くお堅いですねぇ…という事で没収しますね」

「は、はい」

お菓子を食べていた女子の前でいつもと異なる雰囲気の雲雀と黒曜の骸が現れたことでその場にいた生徒はかなり動揺していた。

「ほら、無駄な愛想なんか振り撒いてないで次行くよ」

「おや嫉妬ですか?」

「違う!!あと没収物を勝手に食べるな!!」

「な、なんか変な感じッスね」

「あー…なるほど…」

違和感しかない二人の背中を見送りながら、ツナだけはその超直感で大体の出来事を把握していた。

「ツナ?」

「あ、ううん、何でもないよ!」

(とりあえず今日一日は絶対あの二人に近づかないようにしよう)

余計なことは言わず、全て自分の胸に閉まっておこう。そして絶対に巻き込まれないようにしようとツナはひっそりと誓ったのだった。



***



チャイムが鳴り響き、授業が始まる。

見回りが終わり応接室に帰ると思いきや、雲雀が骸を連れてきたのは暖かな陽が照る屋上だった。

「ふぅ」

「何してるんですか?」

何をするのかと疑問に思いつつ、後を着いて行くと突然雲雀はその場に横になった。

「昼寝」

「…は?」

「だから昼寝。起こさないでよ…僕はほんの少しの物音でも起きるんだから、じゃ」

「ちょ、ちょっと!!」

そう言い残すと雲雀はクルッと寝返りを打って眠ってしまった。

残された骸はと言うと、ただ呆然とその場に座り込むしかなかった。

(昼寝って、真面目なんだか不真面目なんだか…)

ハァ、とため息をつきしばらく考えた骸は少し雲雀から距離を置いて横になる。

(これが普通に入れ替わってなければ寝顔を拝むところですが、自分の寝顔を見ても面白くも何とも…)

雲雀に背を向けるような形になり、そんなことを考えているとピヨッと現れたのは目の前に黄色い鳥。

「おや君はバーズの…今はヒバードでしたか」

そう目の前の鳥に話しかけると再びピヨッと返された。

利口なヒバードの様子に、骸はクスッと笑った。

「残念ながら君のご主人様は寝てしまいましたよ、僕は君のご主人様では」

「ムクロ!ムクロ!」

「…なんだ分かっていたんですね。本当に利口だ」

愛らしい声で鳴くヒバードに指で撫でてやると、頬にスリスリと擦り寄ってきた。

そのふわふわとした柔らかな羽毛と暖かな気温に骸の意識も段々と遠退いていく。

(そう言えば…何でヒバードが僕の名前を知って…た……)

うとうととしている内に、骸はついに眠りに落ちていた。

その様子を、雲雀が横目で眺めているとも知らずに。







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