「骸!!!!」
「!?」
突然雲雀くんの叫びと共に背中に強い衝撃を受け、僕は勢いよく前に倒れ込んだ。
その瞬間、とてつもない地響きと鼓膜を激しく揺らす轟音が響き渡った。
「な…!?」
突然の事で、状況も分からず雲雀くんの方へ振り向いた。
すると目の前には、落下してきた鉄柱がいくつも突き刺さっていた。
「きゃぁああああぁぁあああ!!!!」
…―――雲雀くんの、華奢な身体を貫いて。
「何あれ、ウソ、」
「おい、誰か救急車!」
「もう遅いだろ…」
「いやぁああ!!」
つんざく悲鳴と風に揺れる風鈴の音が不協和音を奏でる。
無駄な正義感なのか偽善なのか、助けようとする者もいれば我関せずで面白がる者もいる。
しかし色んな人間がいるが、誰一人雲雀くんに近づこうとする者はいない。
そして僕も、ただ呆然とそれを眺めるだけだった。
「…ウソ、だ」
どんどん流れ出る血。
それに比例するように青白く変わる雲雀くんの顔色。
僕は思わず頭を抱えて目をそらした。
「違う、違う…!!これは夢だ…夢に決まって―――」
自分に言い聞かせる様に強く、強く呟いていると急にグイッと肩を掴まれ嫌でも前を向いてしまう。
『何言ってるんです?しっかり見て下さいよ』
目の前で、陽炎が僕と同じ顔で嗤っていた。
それはそれは、嬉しそうな表情で。
『これは、夢じゃないですよ』
そして何故か、僕は視界が眩み、意識が遠退く。
(ひば…り、く―――)
意識が完全に飛ぶ直前。
血に濡れて倒れる彼の表情は、どこか満足げに笑っているような気がした。
***
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