WCで訪れていた東京の、とある、曲がり角。

空色の髪をした元チームメイト。

テツヤを発見したのだ。

黒子テツヤが現れた。

しかし黒子テツヤはまだこちらに気づいていない―――

「……………」

僕は、やや沈黙し。

そしてはぁー、と大きく息を吐いた。

やれやれ。

テツヤが好きすぎて、ここで僕が喜び勇んでテツヤに飛びかかるとでも思ってるんだろうね。

まだ僕の存在にまるで気づいていない、あの危機感がまったくない生まれたての小鹿みたいな彼に後ろからしがみつきでもして、しこたま頬ずりでもすると、そんな風に思われているんだろうな。

本当、やれやれ。

いや、認めるよ?

確かに僕にもそういう時代はあった。

あったとも。

しかし、それは過去の話。

僕がまだ絶対で無かったころの話だ。

しかし今の僕は何にでも勝つ完璧な人間で、最強であるキセキの世代と洛山高校のキャプテン。

だからもうそんな愚かなことはしない。

大体、その時の僕と今の僕とじゃ全身の細胞が違うからね。人間の細胞は次々と入れ替わってるんだ。

そんな時代もあった。

回想シーンの終わりなんてそれで充分だ。

そりゃあテツヤの今の光にムカついてハサミを突き刺したりもしたけど、そんなのもいい思い出だ。

人の性格は変わっていくし、好意も変わっていく。

僕は京都、テツヤは東京と離れていたから卒業してから殆ど会ってないしね。

今の僕はテツヤに微塵の興味もないし、テツヤは果てしなくどうだっていい存在だ。

けど、無視をするのもどうかと思う。

興味がないなら普通に接することができるからだ。

無視をすると逆に離れていたことを意識し過ぎて恥ずかしがっていると思われるかもしれない。

だからこそ、だからこそだぞ?

久しぶりに旧友に会った挨拶程度に会話をするのは問題ないはずだ。

君達だってしばらく会ってない友人に会ったら少しの会話はするだろう?

それと同じだ。

僕は社会的なマナーとしてテツヤに話しかけるんだ。

「さて」

前置きはこれくらいにしよう。

そしてここからが本編だ。

僕も待ちかねていた。

クラウチングスタートの体制をとる。天帝の眼をつかい、テツヤの体の未来を予測する。

さあ!

思い切りしがみつこう!

頬ずりをしよう!

触ろう、揉もう!

心行くまで愛そう!

今日こそ僕は、テツヤを抱く!

「テツヤぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぐあああっ!!」

そして、今、正に僕がテツヤに向かい駆け出そうとしたとき、僕の足を何者かが掴み、僕は顔面から激しく転倒した。

軽い涙目で振り返ると真太郎の姿。

「……った 真太郎!! お前の仕業だな! せっかくテツヤにしがみついて 頬ずりして 触って 揉んで 愛して京都まで連れ帰ってから抱こうと思っていたのに!」

「赤司 これ以上は本当に赤司ファンに管理人が怒られるからやめるのだよ………」









管理人は変態なキセキ厨赤司様が大好きです



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