「?ぁ……あ”……」

泣いていた

俺はずっと泣いていたのだ

「あ”あ”ァァァァあぁああああああああああああ!!!!!!!!!」










中学2年のとき、灰崎を強制退部させたとき、黒子の才能を赤司が見出したとき、いや、それよりも前か

そのときには、俺は気づいていた
赤司の中の”彼奴”の存在に

あの厳しくも優しい赤司からは考えられないほどの冷たい瞳を見せる存在

しかし、”彼奴”の判断で間違ったことはなかった

「全てに勝つ僕は全て正しい」

”彼奴”の言ったこの言葉の通り、”彼奴”が選んだひたすら個人技をする俺達は3年の全中ではそれこそ仲間のうちで競争をしていても勝てたくらいに強くした

その代わり、俺達は大切なものを失ったということに気づいたのは、優勝を飾った直後だ
チームワーク、信頼、バスケの楽しさ、勝利の価値
優勝、というものとは変えられないくらいの存在の数々
気づいた時にはもう遅く、俺達はバラバラになった

千切れて、粉々に引き裂かれた











「赤司」
「なんだい、真太郎」

卒業式の一週間前だ
俺は赤司を呼びだした
赤司、とは言ったものの中身は”彼奴”だ

紫原との1on1以降、赤司は出てきていない

「何故、あんな戦略をとったのだよ」
「あんな戦略、とは?」
「とぼけるな!全中のことだ!!」

思わず怒鳴ってしまったが、”彼奴”は愉快そうに笑っているだけだった

「ああ、あれか…で?それがどうした?」
「どうしたとはっ「勝つために当然のことを選んだまでだよ」っだが!”赤司”ならこんな方法っ…!」
「赤司は僕だよ」
「お前は赤司ではない!」
「なら


なんで僕のやることに口出ししなかったんだ?」


「っ!!」
「僕が間違っていた、とお前は感じていたんだろう?なら、僕に言えばよかったじゃないか」

聞き入れたかどうかは知らないが。と、赤司の形をした”彼奴”は言う

そうだ、止めればよかったのだ

止めればよかったのに

気づいていた
知っていた
感じていた
あのままではダメだと

それを知りながら放置したのは紛れもない俺自身





”そう、お前が悪い”




ーーー不意に、頭に声が響き始めた

正面にいた筈の”彼奴”はすでにこの場にはいない

なら、誰の声だ?

”お前が言えていたなら 結果は変わってただろうに あーあ”

直接頭に五月蝿い声が響く

頭が、痛い

”自覚してんだろ?お前が悪いって”

五月蝿い

”お前が赤司に声をかけていれば”

五月蝿い五月蝿い

”お前のせいだ”

認めたくないイヤだ

こんな勇気のない俺を認めたくない

”認めろよ お前は弱虫で、勇気なんかとは程遠い糞虫なんだよ”

ああ、そうだ。俺は弱虫で情けない

こんな自分に嫌気がさす

こんな状況にも、嫌気がさす

なお俺を攻め立てるこの声がイヤだ

消えてくれ

消えろ消えろ消えろ消えろ消えろ消えろ消えろ消えろ消えろ消えろ消えろ消えろ消えろ消えろ消えろ消えろ消えろ消えろ消えろ消えろ消えろ消えろ消えろ消えろ消えろ消えろ消えろ消えろ消えろ消えろ消えろ消えろ消えろ消えろ消えろ消えろ消えろ消えろ消えろ消えろ消えろ消えろ消えろ消えろ消えろ消えろ消えろ消えろ消えろ消えろ消えろ消えろ消えろ消えろ消えろ消えろ消えろ消えろ消えろ消えろ消えろ消えろ消えろ消えろ消えろ消えろ消えろ消えろ消えろ消えろ消えろ消えろ消えろ消えろ消えろ消えろ消えろ消えろ消えろ消えろ消えろ消えろ消えろ消えろ消えろ消えろ消えろ消えろ消えろ消えろ消えろ消えろ消えろ消えろ消えろ消えろ消えろ消えろ消えろ消えろ消えろ消えろ消えろ消えろ消えろ消えろ消えろ消えろ消えろ消えろ消えろ消えろ消えろ消えろ消えろ消えろ消えろ消えろ消えろ消えろ消えろ消えろ消えろ消えろ消えろ消えろ消えろ消えろ消えろ消えろ消えろ消えろ消えろ消えろ消えろ消えろ消えろ消えろ消えろ消えろ消えろ消えろ消えろ消えろ消えろ消えろ消えろ消えろ消えろ消えろ消えろ消えろ消えろ消えろ消えろ消えろ消えろ消えろ消えろ消えろ消えろ消えろ消えろ消えろ消えろ消えろ消えろ消えろ消えろ消えろ消えろ消えろ消えろ消えろ消えろ消えろ消えろ消えろ消えろ消えろ消えろ消えろ消えろ消えろ消えろ消えろ消えろ消えろ消えろ消えろ消えろ消えろ消えろ消えろ消えろ消えろ


”ちげえだろ?”

”消えなきゃいけないのは、お前さ
緑間真太郎”

……そうか

こんな 俺 が、消えてしまえばいいのに

どうしようもない虚無感と、りと、りを感じ



「?ぁ……あ”……あ”あ”ァァァァあぁああああああああああああ!!!!!!!!!」



俺はナニカに”呑まれた”










ずっとずっと、副主将なのになにもできなかった自分を責める真ちゃん



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