「みやじくんってさー、細マッチョだよね」
「なんだよ急に」
「私はどちらかというとゴリマッチョな大坪くんがタイプなんだけど」
「知るか」
「…みやじくんは細マッチョです。マネージャーに対して優しくもないです血も涙もないんですっ……と」
「……何書いてんだよ」
「部日誌ー!」
「真面目に書け!」
えー、なんて言うと私が書いていた文字はさっきまで着替えていたみやじくんに消された。あーあ、せっかく書いたのに……
「私の汗と涙の結晶が……」
「意味分かんねえ」
「だって消す意味が分かんないんだもん」
「後半俺への悪口じゃねーか」
「え、私なりの褒め言葉なんだけど」
「そんなに轢かれたいんだなー加藤?木村ー軽トラ貸してー」
「ゴメンナサイ」
軽トラには轢かれたくないから慌てて謝るとおまえら仲いいよなーと反対側のロッカーからきむらくんの声が聞こえてきた。いや、それはないとみやじくんと答えが被った。きっと向こう側できむらくんはニヤニヤしながら面白がってるんだろうなあとなんとなく想像がついた。
「んじゃ、お邪魔虫はさっさと帰るわ、ごゆっくりー」
と笑顔できむらくんは着替えて帰っていった。みやじくんを見ればでかいため息をついていて、ため息つきたくなるのはこっちの方だよと口にだしたくなったがなんとなくこのあとの展開がよめたので言葉をのみこんだ。



ふと窓の外を見れば1本の桜の木が見える。そういえば、もう来月で私も3年生になるのか。この部日誌ももう少しでページが終わってしまうのかと思い始めたらなんとなく最初のページから見返したくなったので、パラパラと最初からページをめくっていった。
途中であるページに目が止まった。その日付はちょうど去年の今日になっていて、字が今よりもあどけなさがなんとなく残ってる感じだった。そういえば、今日だったんだなあと去年のコメント欄を見て気づいた。そして今年の今日のページに戻って急いでペンを走らせた。
「よし、できた!」
「また変なこと書いてねえよな?書いてたら…」
「書いてないですよーだ、童顔みやじくん」
んじゃ、お先にっと
荷物を持って慌てて部室から出て走った。後ろからはテメー加藤!なんて怒声が聞こえたけど無視して走り続けた。部日誌の今日のページを開いたまま出てったからきっとみやじくんの目に入ってるかもしれないと思うと照れるから顔を合わしたくない。こういうとき正面向いて言えたら苦労しないけど、なんか恥ずかしいから去年と変わらず私はコメント欄に書き残してきた。とりあえず明日になったらクラッカー鳴らしてあげようっと。
HAPPY BIRTHDAY!!
みやじくん
みやたん!さまに提出。








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