正直言うとまだ怖い。
付き合うとなればもちろんそういう行為に及ぶことだってある。嫌っていうわけじゃない。いざベッドに入ってみると怖くなってしまう、どうしても。


「どーした、そんな浮かない顔して?」

ふと目線を上げれば目の前には私の彼氏、高尾くんの顔が。浮かない私の顔を見て彼は表情を曇らす。そんな彼を見て、


「…ごめん」

と謝るしかないのだ私は。本当にごめん、と。
高尾くんが優しくしてくれるのは言葉も行動も伝わってるのに臆病な私はいつも前進せずに後退してしまう。そんな自分が情けなくて不甲斐なくていつも泣いてしまうんだ。

「俺達まだ高校生じゃん?焦んなくたっていーって、な?」

ニッ、と笑いながら今はこれだけで充分幸せなんだぜ、といつもそう言って私を励ます。でも弟から聞いたことがある、寸止めされるのも辛いんだぜって。そう思うと高尾くんに申し訳なくてごめんね、ごめんねと心の中で謝っていた。やばい、考えたら泣けてきた。

鼻を啜る音が布団の中で響く

「俺達は俺達のペースで行けば良いんだって!」
「でも、辛い…よね」
「あー、確かに辛くないって言ったら嘘になるけどなー」
「……う」
「でも名前を悲しませるより断然マシだからなー」

大丈夫!と高尾くんは笑って返した。高尾くんの優しさが伝わってくる。外は寒いのにこの空間だけ何故かあったかい。


「だからさー、」
「…ん?」
「抱きしめることだけは許してくんね?」

それ以外は絶対何にもしねーから、と言って私を抱きしめた。

「…私の許可がまだおりてないのに、」
「え、ダメ?」
「…まさか」

そんなわけない。
好きな人に彼氏に抱きしめられて嬉しくないなんて彼女がこの世にいるだろうか、いやいないだろう。いたにしろいないにしろ私は目の前の高尾くんに抱きしめられて嬉しいし、ほっとするし、なにより幸せ。

「…名前」
「…なーに?」
「おやすみ」
「…うん、おやすみ」

今日も部活お疲れさま、と笑って言えばさんきゅ、と笑って静かにキスをして高尾くんは目を閉じた。


まだ高尾くんの優しさに甘えてばかりで臆病な私。でも今日は後ろめたい気持ちはなくてどこかしあわせを感じる。それはきっと好きな人の温もりが近くで感じることが出来て幸せだなって感じたからなのかなと、私は思った。

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黄昏さまに提出。





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