「んじゃ帰ろっか」
「ん」

あたりまえのように恋人つなぎをする。今日は久しぶりに清志と帰れることが思わず顔がニヤニヤするくらい嬉しい。教室で一緒に帰れるって聞いたときは思わずニヤけてしまって清志に小突かれた。あれは地味に痛かったなー。



なんとなく沈黙が続く。
こんなに長く沈黙が続いても気まずい雰囲気にならないのは長年の付き合いからか、それとも久しぶりに清志の体温を感じていたいのか今この時間が心地良い、なんてニヤニヤしながら思ってると隣から「何ニヤついてんだ、轢くぞ」とまあ相変わらずお決まりな言葉が出てきて「なんでもなーい」と私はニヤニヤしながら言う。


***

しばらく歩いた後ふと自動販売機を見つけた彼女。

「あ、コンポタ発見!」

思わず自動販売機に駆け寄る彼女を見てああ、もうそんな時期かと考える。去年もこんなことがあった。季節は今ぐらいで久しぶりに一緒に帰れば彼女は好きなコンポタ(コーンポタージュ)を片手に持って俺と一緒に帰った。

今年も彼女はコンポタを買ったようで顔をニコニコさせながらあったまるー、と言って顔を緩ませた。絶対彼女には言わないがこの時の彼女の表情は可愛くてどきっとする。そんな彼女の顔を見て自分の顔も思わずにやけてしまいそうで顔を見られたくないから照れ隠しに彼女をおいていく。


「あ、待ってよー」

その姿を見て彼女もまた彼氏を追いかける。
久しぶりにとれたちょっと贅沢な時間。毎日一緒にいたら理性を保てるのかとちょっと不安になる自分。こんな僅かな時間でも贅沢に感じるのは充実してる証拠だと宮地は思った。


――――――――――
慈愛とうつつ様に提出。





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