マストの原田店担当営業・早乙女リョウは、QoQoのヘルパー・三神アツシを狙っている。

狙っている、はマストのヘルパーとしても。
そして、可愛い恋人としても。

「リョウとアツシって、何かみたいだよね三神さん」
早乙女は2つ年上の三神に微笑みかける。
三神は汚い物のように早乙女を見る。
その視線がまた堪らない。
痺れてしまう。

伊東テルカと武藤モコの視線を遠くから感じるが、そんな事は気にしない。

早乙女は自分に自信を持っている。
自分は売れる。
自分は仕事が出来る。
そして自分はかっこいい。

ここまではエルデータの菅野と被っているんだろうな、と早乙女は思う。
思うが、正直菅野には勝っている部分がある。
若さと、身長だ。

確かに菅野さんは顔がいい。
でも小さいもんね。
俺はその点、顔はいいし菅野さんより七つは歳若いし、身長は179cm。
ヤバイ。総合で勝ってる。

一方早乙女が狙っている「可愛い」三神は。
強面の、関西人ボクサーに似ている。
仕事はとにかく出来る。
出来ると言うよりも、とにかく、売る。
三神の得意技は「ナンパ商法」。
好きなタイプの女性を見つけては声を掛ける。
女性客と長く話をしたいが為に、接客に力を入れる。
結果、売れる。

そのスタイルも好きだ。
正直で。
真っ直ぐで。
かっこいい。

「三神さん、マストに来ませんか」
「嫌です」
はっきりと断られる。
小さくつぶらな瞳で、醒めた視線を送られる。
これがまた堪らない。
「マストの方がここらは売りやすいのに。楽しいでしょ、売れたら」
「俺こっちで売るのが好きだしね。マストの端末は上品過ぎて嫌だもんな」
「でも、売れるでしょ?」
「売れるよ。俺何でも売れるから」
「ですよねー。んじゃデートしましょう俺と」
「もっと嫌だ。俺は女の子が好き…いらっしゃいませー!」

売り場に三神の好みの女性客が現れて、三神はそちらへ走って行った。
三神の好み。
派手目の無理目なオンナ。

早乙女は思う。
無理目が好きなのは俺も一緒なんだよね。
三神さん?絶対落とすからね。
ノンケを落とすのが俺の趣味で特技。
マストの端末興味無い客に乗り換えさせんのが俺の特技だったんだから。

必ず、振り向かせますんで。

今日の所は、こんな感じで。


20090711完


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