夏はやっぱり。

「水着だなぁ。杉浦さんはどんな水着が好きですか」
笑顔で尋ねてくる菅野に、杉浦は眉を寄せて困った顔になる。

「…自分が着る方?かんちゃんが着る水着の話?」
「違います、女性の水着の話。僕はビキニが好き!」
「ああ、そっちか…僕は…アレが好きだなぁ…パレオ?って言うんだっけ」
「布巻いてる奴ですね。チラリズムですか」
「そうですそれです」
「じゃあ今の僕の格好とかお好きなんですね」

菅野は笑う。
杉浦もその姿を見て、笑う。

バスタオルを腰に巻いている。
杉浦はベッドに寝そべり、その脇に菅野が立ってミネラルウォーターを飲んでいた。

「チラリズム…かなぁそれ」
「裸にバスタオル!」
「女性の、チラチラと見えそうで見えないのがいいんだよ。かんちゃんのソレはさー…バスタオルの下がどうなってるか、僕知ってるもん…」
「エロテロリスト僕!」
突然菅野は叫び、ミネラルウォーターを飲み干してベッドにダイブした。

杉浦は少し考えて、それを口に出した。
「…カンカンオブジョイトイ…?」
「M字開脚!」
「…んー、エロくない…菅野くんは普通にしてるとエロくないんだよ、明るすぎるから」
「でもセックスの時にはエロいんですよねー僕って」
言われて頷く。

そうなのだ。
菅野はギャップがいい。
明るくて元気な印象しか無い菅野が、ベッドの上では切ない小さな声で苦しげに喘ぐ。
その表情もいつものニヤニヤ笑いは姿を潜め、欲望に真摯な、ただ杉浦とのセックスだけを考える顔になる。

それが、いいのだ。
そこが、好きなのだ。
溺れてしまっている。

隣に寝転んだ菅野が腕を伸ばし、杉浦の首に絡ませる。
覗き込む様に菅野を見つめる。
大きな目が、自分を見ている。
瞳の中に自分がいた。

「かんちゃん」
「はい、なんでしょう」
「海行こうよ…家族交流。かんちゃんちのチビちゃんも連れてさ」
「いいですねーソレ!」
「君んちの奥さんビキニ、僕んちの奥さんパレオ。君は?」
「競泳用ー!」
「ふざけないで教えてよ」
「じゃあ杉浦さんとお揃いにします。今更お揃いにしたって奥方達はビックリしないよ」
「そりゃそうだよ…浮気相手が旦那と同じ性別なんだもん、そんなの想像しないと思うよー」

菅野に頭を引き寄せられる。
キスされる。
唇を甘く噛み、舌を舐め、何度も菅野を確かめる。
菅野も、杉浦を確かめるかのように同じ事をする。

菅野が言葉を発しなくなった。

発情の、準備万端の、合図。


20090620完



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