県内の、行けるラブホテルは制覇したのではないか。
杉浦はそんな事を考える。

幾つあるんだろうなー、ラブホテルって。

行けないラブホテルは、フロントを通るタイプ。
さすがにスーツの二人連れでは、マズイ。

「確かに、断られるトコもあるみたいですけどね」
風呂から出て体を拭きながら菅野が笑って答える。

「学生がダメなのはわかるけど、男同士じゃダメなんてのはなんか理不尽だなぁ。どうしてかな」
菅野が言う。
杉浦は何の気無しに答える。
「汚されるから、とか?」
それを聞いて菅野が声を上げて笑った。
「なるほど、それもあるのかな?でも女性だって、ねぇ。無い訳じゃないし」
「僕そういうのした事ないよー」
「僕もありませんよ?」
ニタニタと菅野が笑う。
杉浦を見てまた笑う。
「どこ行っても杉浦さんサイズのバスローブには出会えないしね」
杉浦が着ているローブを見て笑った様だ。
自分の脚を見る。
膝上丈。
女子高生か。
心の中で言ってみた。

菅野が着ると綺麗な長さになる。
菅野の身長のせいだ。
それは言わない。

「かんちゃん、前髪下ろすとイメージ変わるね」
風呂上がりの菅野。
いつもは額を出すスタイル。
前に下ろしている。
「前髪長いと気になるんですよ。杉浦さんが長すぎるんだよ」
「僕長い方が好きだもん」
「目に入って痛そう」
「うん、さすがに今は長いかな。帰ったら切ってもらう」
杉浦は月一で妻に散髪を依頼している。
自宅で切るのが好きだ。
外で金を払ってまで他人に髪を触れられるのが、嫌だ。

菅野がニヤニヤ笑う。
「僕が切ってあげてもいいですよ。器用なんです結構」
「器用じゃないよーかんちゃんは。大雑把だよー。POP作っても甘いんだもん」
「僕の場合のソレは、不器用なんじゃなくて集中力が低下するからです。杉浦さんもそんなに器用じゃないですよね。なんでも奥さんにやってもらってるから」
その通りだ。反論しない。
「セックス上手だから、気にしない気にしない」
そう言って菅野は朗らかに笑う。
「そんな褒められ方されてもなー…」

嬉しくない訳でもないが。

菅野がベッドに横たわる杉浦の隣に滑る様に入ってくる。
見上げてくる。
黙って見つめられる。
「そんなに見ないでかんちゃん」
恥ずかしくなって背けた顔を指で引き寄せられ、今日初めてのキスをされた。


20090607完


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